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第22回「言語文化セミナー」
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盛況のうちに終わりました。

■第22回「言語文化セミナー」
2013年12月7日(木)午後2:00〜4:00
講師:佐竹 秀雄(本学教授 言語文化研究所長)
テーマ:将来の書きことばスタイル

【開催にあたって】
30年以上も前、若者たちの書きことばの中に話しことばの要素が流入しはじめました。その影響を受けた書きことばの文体は、かなりの変化をとげました。その変化のようすを概観するとともに、その理由や意味を探ります。そして、将来の書きことばのスタイルはどうあるべきなのかを考えたいと思います。
   佐竹 秀雄

1.新しい書き言葉の出現――「新言文一致体」
1980年当時の若者雑誌、『平凡』『popeye』『an・an』『non・no』などを調査した結果、新しく出現した書き言葉について、佐竹は「新言文一致体」と命名しました。「新言文一致体」の印象を「片仮名の多さ」「造語法の手軽さ」「働きかけの表現(要求、勧誘)」であるとし、その本質的特徴を「話し言葉調」(話すように書く)であるとしました。


2.「新言文一致体」の広がりとその特徴を示す用例
 「新言文一致体」は、上記の雑誌だけではなく、さまざまな書きことばに見られます。たとえば、「「いわさきちひろ美術館」の感想ノート」や、「ジュニア小説作家へのファンレター」、「ジュニア小説」などです。これらには、「言い直し・言いさし」「省略・遊び言葉」「融合形・流行語」といった話しことばに特徴的な形が現れ、「終助詞」にも話しことばで使われるのと同じ形が現れるという特徴がみられます。


3.「新言文一致体」の量的構造・既存データとの比較
次に、「新言文一致体」の文章を計量的に調査した結果を示しました。項目は、「品詞の比率」、「語種の比率」、「文の長さ」、「指示語の比率」、「働きかけ文の比率」、「表情語(オノマトペ)の比率」などについてです。これらの調査結果の数値を既存のデータと比較しながら、「新言文一致体」が、話しことばに近い構造をもっていることを量的にも明らかにしました。


4.「新言文一致体」の表記
「感情・評価を表す語」に片仮名表記が多用され、「程度や状態を表す語」には、非標準的な表記が表れていること、また、「文末部分の表記」には記号が多用されることについて、具体的な用例を示しました。


5.「新言文一致体」の本質
基本的に話し言葉の性質をもつ若者の書き言葉は、「思いつくまま話すように書く」ことで成立しています。考えて文章を作るのではなく、感じて文章を作っているので、その内容・表現は感覚的にならざるを得ません。それが、非標準的な表記を志向することになっています。


6.「新言文一致体」の展開―メール文体の発生
ケータイメールでのやり取りには、話し言葉と同じような表現や、絵文字や顔文字といった特殊な表記法に特徴がみられます。言語情報の不完全さを補い、感情や感覚をスムーズに伝達するこれらがもつ役割は、新言文一致体における記号の役割と同じです。20世紀末からのITの進化は「新言文一致体」を深化させたのです。