武庫川女子大学大学院 建築学専攻(男女共学)
修士課程 幅広い知識と技術、倫理観を備えた専門職能人をめざす。
 修士課程では、教員と学生が一対一の対話によって行う設計演習を核として、知識、技術、感性、歴史、倫理などの多様な価値観の、高度な調和を目指した全人格的な教育を行います。これにより、社会において指導的役割を果たし、国際的に活躍できる建築家および建築技術者を育成します。
プロフェッショナルスクール形式の建築家教育
●修了要件を62単位に倍増したカリキュラム
●一級建築士試験受験資格に必要な「実務経験2年」相当と認定
●2010年度より修士課程の定員を22 名に増員
●演習中心の欧米型スタジオ教育
 本専攻ではプロフェッショナルスクール形式の建築家教育で、幅広い知識と技術、そして建築家として欠かせない倫理観を備えた専門職能人をめざします。修士要件が62単位に拡充された実践的なカリキュラムは、一級建築士試験の受験に必要な「実務経験2年」に相当。また、学部4年間を含めた6年一貫の建築系学士修士課程(建築設計・計画系分野)のJABEE認定基準を満足することでUNESCO-UIA建築教育憲章に対応します。従来の研究中心型の大学院ではなく、学年全員が共通の課題に取り組む演習中心の欧米型スタジオ教育で、研究室の垣根なく指導を受けられます。本学建築学科卒業生の修士課程進学に伴い、従来の10名から22名へ定員を増員しています。
1. 修士課程修了に必要な単位を、従来の30単位から62単位に倍増。
 大学院建築学専攻修士課程の修了要件を従来の30単位から62単位に拡充し、より実践的なカリキュラムとしました。改正建築士法における一級建築士試験の受験に必要な「実務経験2年」にも相当します。
1年前期 大学院における実務教育の基礎として必要不可欠な「インターンシップ関連科目」(演習科目・理論科目・フィールドワーク科目)を履修。
1年後期・2年前期 「実務経験2年」の認定に必要な「インターンシップ科目」と、世界建築家教育基準に対応したより高度な「演習科目」(インターンシップ関連科目)を履修。 より高度な専門知識や最先端の研究成果に触れる「理論科目」や、「演習科目」「理論科目」と連携した「フィールドワーク科目」も開講。 夏季・春季休暇には、短期インターンシップ(海外・国内)を履修。
2年後期 「修士設計」または「修士論文」を選択。
2.一級建築士試験受験資格に必要な「実務経験2年」に相当する実務実習
 改正建築士法において、修士課程2年間の建築教育は、実務経験2年、1年、認定なしの3段階で認められることに。本専攻では、インターンシップ科目を大幅に強化することで、「2年間の実務経験」に該当すると認定されました((財)建築技術教育普及センターによる審査)。修士課程修了後ただちに一級建築士受験資格を取得できます。また、2010年2月に、学内に一級建築士事務所「武庫川女子大学 建築・都市デザインスタジオ」が開設されました。今年度は、建築・都市デザインスタジオを拠点としで新たなインターンシップ科目「建築設計実務」で行われる本格的な実務実習がスタートしています。また今年度はトルコバフチェシヒル大学との国際交流によって、トルコイスタンブールにおける保存修復実習も行われました。
 (1)「武庫川女子大学 建築・都市デザインスタジオ」における実務演習
 
武庫川女子大学建築・都市デザインスタジオ(一級建築士事務所)を拠点として学内外の実際のプロジェクトに参画して新築・改築・保存・修復などの実務訓練を行います。 今年度は武庫川学院施設課と建設会社の方々のご協力の下、学内プロジェクトである「R館(仮称)計画」を題材とし、プロポーザルから竣工引渡までの一連の実務の流れを理解するとともに、現場と並行して施工図作成の実務を体験します。
建築学科3年生 建築設計演習III 建築学科3年生 建築設計演習III
>>「建築設計実務I」における実務演習
>>「建築設計実務II」における実務演習
 (2)トルコ イスタンブールでの保存修復実習
 
武庫川女子大学 建築学科は「6年制の欧米型建築家教育」を実践し、6年一貫の建築系学士修士(建築設計・計画系分野)のJABEE認定基準や「世界建築家教育基準」に適合する教育を実施しています。これによって世界の多様な生活や文化などに深い洞察のある人格を養い、グローバルで国際的な活躍ができる建築家を育成することを目指しています。今年度の「建築設計実務I」の授業では、2008年12月に締結したトルコ・バフチェシヒル大学との間の一般交流協定に基づき、2010年9月23日(木)〜10月9 日(土)の17日間、修士1年生11名がトルコ・バフチェシヒル大学を訪れ、バフチェシヒル大学の企画の下で宮殿などの保存修復関実習を行いました。
建築学科3年生 建築設計演習III 建築学科3年生 建築設計演習III
>>トルコ イスタンブールでの保存修復実習
3. 2010年度より修士課程の定員を22名に増員
 武庫川女子大建築学科では学部学4年間を含めた6年一貫の建築系学士修士(建築設計・計画系分野)のJABEE認定基準を満足することでUIA/UNESCO世界建築家教育基準に対応します。2010年度4月の本学建築学科一期生が卒業して大学院建築学専攻修士課程へ進学することに伴い、大学院修士課程の定員を従来の10名から22名へ増員しました。
4. 演習中心の欧米型スタジオ教育

 本専攻の教育課程は、入学時に専門分野別の研究室に配属する研究室中心のものではありません。演習を中心とし、学年全員が共通の課題に取り組み、研究室の垣根がなく、さまざまな教員から指導を受ける、欧米の建築学専攻と同じプロフェッショナルスクール形式の建築家教育を行います。
 演習科目の課題に取り組む上で必要な基礎知識は、その都度理論科目で講義を受けます。さらに理論・演習科目と関連して、毎週土曜日のフィールドワーク科目で新旧の優れた建築や工事現場を見学。これらの学習成果をインターンシップ科目の実務経験に活かし、実践力に磨きをかけます。

大学院修士課程1年生のスタジオ
●演習科目  自分専用の製図スペースで、実践力を磨く

 「建築設計総合演習」の課題の技術的問題(構造、環境、施工など)は、常に「建築設計技術演習」と関連づけて指導されます。両演習科目を国際的に通用する建築設計者を養成するために必要不可欠な基幹科目として位置づけています。
 専用パソコンと専用製図机などがあるスタジオで、実務経験豊富な専任教員と学外の設計者が、学生と一対一の対話型、少人数かつ実践的な教育を行います。以上の成果として、就職活動においても質の高い設計作品を多数提示可能になり、同時に、一級建築士受験に必要な設計製図の能力も養成されます。
 

建築設計総合演習 I 〜III(1・2年次)
 実物大のモノの世界から建築の設計に取り組む演習科目
 (1)木製ブロック・スペースフレーム・膜による空間構築体験に基づく建築設計
 
大学院建築学専攻修士1年生の建築設計総合演習Iでは、実物大のモノの組立て体験をもとに建築の構造や工法を考え設計をおこなっています。 第1課題「地球環境に配慮した組立て生産型の独立住宅」では、フランク・ロイド・ライトの「ユーソニアン・オートマティック」を念頭に置き、実際に一分の一スケールの木製ブロックを積み上げることにより、住宅モックアップの組立て体験を行い、住宅の設計を行いました。 第2課題「地球環境に配慮した組バラシ自由な礼拝堂」では木製ブロックの積み上げに加え、組立て解体が可能なスペースフレームによる屋根をかけ原寸大モックアップの組立て体験を行い、その組立て体験をもとに、木製ブロックによる壁や柱、スペースフレームによる屋根を中心として、各自で材料や構造や構法を考えながら礼拝堂の設計を行いました。第3課題「膜屋根による半屋外遊戯場があるこども館」では、木製ブロック、スペースフレームにさらに膜を加えた空間構築体験を通して建築の設計に取り組みました。
建築学科3年生 建築設計演習III 建築学科3年生 建築設計演習III
>>「建築設計総合演習I」
>>木製ブロック・スペースフレーム・膜による空間構築体験
 (2)紙管による空間構築体験に基づく建築設計
 
大学院建築学専攻修士1年生の建築設計総合演習IIの第1課題「紙管を使用した住居と集落」では、紙を構造体として使用した建築を計画します。紙管は軽いですが材料そのものが強いとはいえません。しかし、構造計画を工夫すれば、必ずしも強い建物をつくるために強い材料を使う必要はないことを踏まえて、計画を進めています。 演習では、紙管を用いた 空間構築体験を通して建築の設計に取り組んでいます。
建築学科3年生 建築設計演習III 建築学科3年生 建築設計演習III
>>「建築設計総合演習II」第1課題
>>「建築設計総合演習III」第1課題
 (3)竹による茶室の制作
大学院建築学専攻修士1年生の建築設計総合演習IIの第2課題「竹による茶室の制作」では、竹を材料として原寸大の茶室の設計に取り組みます。材料となる竹の伐採から始め、茶室の設計および実際の茶室の施工まで一連の流れを体験します。
建築学科3年生 建築設計演習III 建築学科3年生 建築設計演習III
>>「建築設計総合演習II」第2課題
>>「建築設計総合演習III」第2課題
>>「フィールドワークVB」竹の伐採
建築設計技術演習 I 〜III(1・2年次)
 「構造・設備・施工」の技術的側面から建築設計総合演習の課題に取り組む
 
同時進行する建築設計総合演習I〜IIIの課題について、構造、環境・設備、施工など技術面の課題検討を行います。課題として与えられた建物の基本設計および詳細設計を行うために、基本となる構造、設備計画の策定とそのプロセスを学習するとともに、建物用途や規模、敷地条件などに対応して設定された技術課題に取り組みます。豊富な技術経験を有する専任教員と学外の専門技術者が参画し、幅広い視点からの指導を受けます。
建築学科3年生 建築設計演習III
●インターンシップ科目  一級建築士受験資格取得に必要な「実務経験2年」に相当

 改正建築士法において、修士課程2年間の建築教育は、実務経験2年、1年、認定なしの3段階で認められることに。本専攻では、インターンシップ科目を大幅に強化することで、「2年間の実務経験」に該当すると認定されました((財)建築技術教育普及センターによる審査)。修士課程修了後ただちに一級建築士受験資格を取得できます。また、2010年2月に、学内に一級建築士事務所「武庫川女子大学 建築・都市デザインスタジオ」が開設されました。今年度は、建築・都市デザインスタジオを拠点としで新たなインターンシップ科目「建築設計実務」で行われる本格的な実務実習がスタートしています。

建築設計実務 I・II (1・2年次)
 学内もしくは海外の大学で本格的な実務実習に取り組むインターンシップ科目
 (1)「武庫川女子大学 建築・都市デザインスタジオ」における実務演習
 
 学内一級建築士事務所「武庫川女子大学 建築・都市デザインスタジオ」を拠点として学内外の実際のプロジェクトに参画して新築・改築・保存・修復などの実務訓練を行います。
 今年度は武庫川学院施設課と建設会社の方々のご協力の下、学内プロジェクトである「R館(仮称)計画」を題材とし、プロポーザルから竣工引渡までの一連の実務の流れを理解するとともに、現場と並行して施工図作成の実務を体験します。
建築学科3年生 建築設計演習III 建築学科3年生 建築設計演習III
>>「建築設計実務I」における実務演習
 (2)トルコ イスタンブールでの保存修復実習
 
武庫川女子大学 建築学科は「6年制の欧米型建築家教育」を実践し、6年一貫の大学院JABEEや「世界建築家教育基準」に適合する教育を実施しています。これによって世界の多様な生活や文化などに深い洞察のある人格を養い、グローバルで国際的な活躍ができる建築家を育成することを目指しています。今年度の「建築設計実務I」の授業では、2008年12月に締結したトルコ・バフチェシヒル大学との間の一般交流協定に基づき、2010年9月23日(木)〜10月9 日(土)の17日間、修士1年生11名がトルコ・バフチェシヒル大学を訪れ、バフチェシヒル大学の企画の下で宮殿などの保存修復関実習を行いました。
建築学科3年生 建築設計演習III 建築学科3年生 建築設計演習III
>>トルコ イスタンブールでの保存修復実習
短期インターンシップ (1・2年次)
 国内外の優れた建築設計事務所、調査研究機関、専門的な技術をもつ工務店、実務教育プログラムを有する国外の大学などで実務実習を行います。
 
建築学科3年生 建築設計演習III 建築学科3年生 建築設計演習III
長期インターンシップ (1・2年次)
 国内外の優れた建築設計事務所、充実視した設計実務教育や保存修復プログラムを有する国内外の大学または研修所で、設計・工事監理関連の実務実習、または同等の教育を受けます。
●理論科目  高度な専門知識と最先端の技術に触れ、次代の建築を考える

 専任教員の実務経験と研究活動に裏づけられた高度な専門知識や最先端の理論に触れることにより、建築設計を理論的側面から深く分析し、具体的、総合的に設計する力を養います。さらに、伝統的もしくは先端的な技術をもつ技術者や、社会で活躍中の建築家など多彩な非常勤講師による講義もあります。

●フィールドワーク科目  見て、触れて、調査。建築の実際を体感する

 毎週土曜日はフィールドワークです。歴史的建築、現代建築、先端の材料あるいは伝統的材料を使った建築、新しい構造デザインや施工技術による建築、都市再開発の現場、保存再生の現場、サステイナブル建築、庭園、茶室などを見学し、これらの現場で活躍する建築家や技術者から詳しい説明を受けます。演習・理論科目と体系的に連携して実施。環境と人間の関係を認識しながら、多面的な考察を行い、多様な社会要求に対応した建築を実現する素養と能力を養います

博士課程後期 21世紀に求められる建築家および研究・教育者を育成
博士後期課程(3年)においては、さらに専門性の理論的かつ実践的な研究指導により、建築設計分野に関する高度で幅広い学識を有する指導的立場の建築家や研究者を育成します。

築設計とは極めて根源的で創造的な行為

 Architectureの語源は、古代ギリシャ語で、工匠tectonの頭archeの技術techneを意味します。すなわち建築とは「原理的知識をもち、職人たちの頭に立ち、諸技術を統べ、制作を企画し、指導しうる工匠の技術」です。建築は、安全、機能、美、宗教、歴史、やすらぎ、自然など、人間が生活するために不可欠な多くの要素と深くかかわり、人間の存在そのものに密着している途方もなく複雑なものです。よって「設計する」という行為は、人間にとって最も根源的で、そして創造的です。設計者の全人格の象徴ともいえる優れた建築作品は、時代を超えて新鮮な感動を呼び起こす力を持ちます。これが、建築学が工学の中で唯一、自身の歴史を問う学問といわれる理由です。
 自己の内面、さらに個人の枠を超え、その国や地域独自の文化、風土、そこに生きる人々に共通する感性や自然観と深く対峙して造りあげられた、その地域に固有な建築や都市は、文化の違いを超えて、人のこころに響きます。建築や都市は個性的なものほど普遍的であり、世界に通じるものです。
美と技が集結した新旧の校舎で学ぶ

 校舎となる「甲子園会館」は、Frank Lloyd Wrightの愛弟子「遠藤 新」の設計により1930年に竣工した旧甲子園ホテルです。このような校舎で建築を学ぶことは、歴史的建築保存の先進国である欧米でも例がありません。今後、新築工事が減少し、保存・修復工事がそれに匹敵することが予想される中、学生は、当時の時代の精神の象徴ともいえる歴史的建築空間を日常的に体験することにより、歴史的価値への理解を深めるとともに、保存修復の精神や技術を身につけることができます。

 さらに、2007年3月に、新校舎「建築スタジオ」が同じ敷地内に竣工しました。現代的なデザインで、最先端の技術を取り入れた新校舎は、甲子園会館と調和し、学部と大学院のスタジオ、最新の設備をそなえた構造、環境の実験室、施工実習室、教員研究室などがあります。甲子園会館は、講義室、アトリエ、図書室などとして使用し、新旧の校舎で授業が行われます。Wrightの意匠を継承した歴史的建築と最先端の現代建築、新旧の校舎が最高の教科書となります。

「甲子園会館」(旧甲子園ホテル)
新校舎「建築スタジオ」2007年3月完成
大学院入学試験について
修士課程の入学試験は、本学(生活環境学科等)の卒業見込者、卒業生を対象に推薦入試を、本学および他大学の卒業見込者、卒業生を対象に一般選抜を行います。また2010年以降、本学建築学科の卒業生は修士課程の入学試験は書類審査と面接のみです。博士後期課程の入学試験は一般選抜のみ行います。
>>大学院建築学専攻 入試情報
大学院入学金免除について
本学他学科(生活環境学科等)の卒業生が建築学専攻修士課程に進学する場合は大学院入学金の半額、本学修士課程から建築学専攻博士後期課程に進学する場合は大学院入学金の全額を免除します。また建築学科の一期生が卒業する2010年以降、建築学科から建築学専攻修士課程に進学する場合、大学院入学金を全額免除しています。
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