武庫川女子大学 建築学科・大学院建築学専攻
 ■2016年度 特別公開講演会

 

木質構造学の今
−木材の基礎知識と建築利用−


講演者

五十田 博  (京都大学生存圏研究所 教授)

lecture
五十田先生のご講演の様子
 

 2016年11月26日の特別公開講演会「あなたの2階建て木造住宅は大丈夫?」でご講演頂いた、五十田博先生(京都大学生存圏研究所教授)を再びお招きして、「木質構造学の今 −木材の基礎知識と建築利用−」というタイトルで特別公開講演会を開催しました。
 まず、我が国における木造構造の歴史と現状についてご説明頂きました。1959年の伊勢湾台風をうけて、防火、耐風水害のための木造禁止の学会決議があったこと、しかし実際には、木造建築は建て続けられ、1990年頃には木造大空間構造(ドーム)のブーム、最近では高層木造ビルも建てることが可能となっている現状についてご教示頂きました。また、日本の森林蓄積量が増えてきており、余った木材を有効利用した建築が推進されている現状をご説明頂きました。
 次に、木造構造の耐火性、耐震性について、基本的なところから最新技術まで、多数の耐火実験や耐震実験の写真や動画を交えて、ご説明頂きました。耐火構造については燃え代設計など、耐震設計については、許容応力度設計や等級区分の考え方、壁量計算、四分割法などの計算法などについても、ご教示頂きました。また、近年、木造建築にも適用されてきた免震、制振構造の仕組み、実施例などについても、ご説明頂きました。
 最後に、CLT(直交集成板)などの集成材を利用した高層木造ビルの、国内外の実施例や進行中のプロジェクトをご紹介頂きました。また、E-ディフェンスで実施された7階建て実大木造ビルの震動台実験の動画も示して頂き、CLTによる木造中層ビルが地震によってどのように揺れるのかを実感できました。
 木造構造の分野はまさに日進月歩であり、木造による大空間構造、高層ビルも可能になってきています。本建築学科の学生達にとっても、木造建築の最先端の話題を拝聴することができ、とても刺激的で有意義な特別公開講演会となりました。

 
日時
2017/1/21(土) 13:00〜16:30

 

会場
上甲子園キャンパス 甲子園会館 西ホール
西宮市戸崎町1-13 <JR「甲子園口」駅下車徒歩10分> >>上甲子園キャンパスへのアクセス
■参加対象者入場無料・事前申込不要 (一般の方も参加可能です)
講演者
五十田 博
プロフィール
1965年新潟県出身。1990年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。1992年信州大学工学部助手。1997年建設省建築研究所主任研究員。2004年信州大学工学部准教授。2011年同教授。2013年京都大学生存圏研究所教授。現在に至る。研究分野は、木造住宅の耐震安全性に関する研究、中層大規模木造建築の開発と性能評価、CLTなどの新材料や新たな構造システムの開発と構造性能評価など。2011年度日本建築学会賞(論文)受賞(木質構造では35年ぶり)。
 
■問い合わせ先  
武庫川女子大学建築学科 TEL:0798-67-4501
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