武庫川女子大学 建築学科・大学院建築学専攻
 ■2017年度 特別公開講演会

 

北イタリアの都市と建築


講演者

福田 晴虔  (九州大学名誉教授)

lecture
会場の様子
 

 九州大学名誉教授の福田晴虔先生をお招きし、「北イタリアの都市と建築」というタイトルで特別公開講演会を開催しました。

 前半のご講演では、まずローマ帝国の東西分裂期に多くのキリスト教聖堂が建設されたラヴェンナの歴史的経緯、初期キリスト教、ビザンチンなどの様々な宗教文化を伝える聖堂の美しいモザイクで彩られる内部空間についてご解説頂きました。次に、ラヴェンナ総督の支配から独立したヴェネツィアの都市の形成過程、サン・マルコ周辺の広場と大聖堂、ビザンチン、ゴシック、ルネサンスなど様々な様式が混在して建つカナル・グランデ沿いの商館建築、教会堂周辺に広がる多様な広場、橋、運河など、多くの事例についてご解説頂きました。また、ヴィチェンツァ地方の建築家アンドレア・パッラーディオが手掛けた宮殿、郊外の邸宅についてご説明頂き、古代ギリシャ建築にみられる三角破風をファサードに引用した建築的な象徴性の表現、ファサードのモチーフとして用いられるセルリア―ノの特徴、それらのデザインに影響を受けた建築家との関係についてご解説頂きました。

  後半のご講演では、まず建築家ミケーレ・サンミケーリ設計の市門、宮殿などのヴェローナの建築、ヴィチェンツァのバシリカ(パッラーディオによる設計)のモデルとされるパドヴァのラジョーネ宮とそれに関連する建築についてご説明頂きました。さらに、建築家アルベルティが手掛けたマントヴァとフィレンツェの建築を中心に、特有のファサードのデザイン、聖堂内部のアーチのリズミカルな表現手法についてご解説頂き、ただ歴史的建築をモチーフとして引用するのではなく、いかに読み替えて再構成可能かという、建築に込められたデザイン思想の一端を垣間見ることができました。最後に、ミラノの建築家ブラマンテが手掛けた教会を中心に、透視図法で描かれる壁面により、教会内部を壮大に魅せる空間の表現手法などを詳しくご解説頂きました。

 北イタリアの多岐にわたる歴史的建築を通し、各建築家それぞれが、工夫を凝らして造り上げられた建築に込められるデザインの意味やその重要性についてご教示頂き、非常に貴重な講演会となりました。特に、来月の8月20日から海外研修に参加する学部2〜4年生にとっては、ご講演で挙げられた建築に実際足を運ぶ前に理解を深める有意義な機会となりました。

 
日時
2017/7/22(土) 13:00〜16:30

 

会場
上甲子園キャンパス 甲子園会館 西ホール
西宮市戸崎町1-13 <JR「甲子園口」駅下車徒歩10分> >>上甲子園キャンパスへのアクセス
■参加対象者入場無料・事前申込不要 (一般の方も参加可能です)
講演者
福田 晴虔
プロフィール
1938年生まれ。東京大学工学部建築学科卒、大阪市立大学、九州大学、西日本工業大学などを経て、現九州大学名誉教授。主な著作は、「パッラーディオ」、鹿島出版会、1979; ラスキン著「ヴェネツィアの石、全3巻」翻訳、中央公論美術出版、1994-96;「イタリア・ルネサンス建築史ノート、1〜3, ブルネッレスキ、アルベルティ、ブラマンテ」、中央公論美術出版、2011〜2013、他。
 
■問い合わせ先  
武庫川女子大学建築学科 TEL:0798-67-4501
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