武庫川女子大学 建築学科・大学院建築学専攻
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当大学の広報誌「リビエール」のハロラボのコーナーで
建築学科大井准教授の研究室がとりあげられました!


2011年2月19日(土)

建築学科3年生 建築材料実験
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>>リビエール
■記事全文
ハロラボ Hello Laboratory
心地良い時間を追求すること。建築の世界は、幅広く、奥深い。
●どのような研究をされていますか?
私の研究は、まず簡単な模型作りから始まります。「居住空間構成法」と言うのですが、例えば、小学校の校舎を作るときは、小学生に「理想の学校」をテーマに縮尺50分の1の壁や人形を使って模型を作ってもらい、その制作過程や完成した作品を分析します。こうすることによって、人聞の心の中にどのような図式があるのか調べることができます。

●その研究はいつ始められたのですか?
居住空間構成法の研究、実は学生時代に始めました。今は「どのような空間が、高齢者や疾病を持つ人々にとって暮らしやすいか」について研究しています。特に「認知症」の方が暮らしやすい空間設計に取り組んでいて、現在は医学書を読むなどして認知症についての理解を深めています。

●建築学科ではどんな授業をされていますか?
最近では大学院の演習で、竹で茶室を作りました。学生たちと9人で実際に山へ登って、農家の方のアドバイスを参考にしながら、自分たちで竹を伐採し、切って、運んで…大変な苦労の末、この畳2帖分の竹の茶室が完成したんです。2006年に入学した建築学科の一期生が現在、大学院修士課程1年生。授業にはいつも新しい試みをたくさん盛り込んでいます。

●建築の世界を目指したきっかけは?
子どもの頃は動物が大好きだったので、獣医さんになりたいなぁ…なんて漠然と思っていました。ですが高校2年の時、担任の先生が「建築」の世界を勧めてくださって。建築とは何かを分からずに大学ヘ進みましたが、いざ学んでみると意外に面白かった。建築って、数学や物理を学びながら、歴史やデザインも学べるんですよね。これも建築の面白いところ。気が付けば、どんどん建築の世界にのめり込んでいました。

●今まで失敗したことはありますか?
設計事務所で勤務していた時は、工事現場で図面の内容を見落とすなど、結構多くのミスをしました。勉強不足と経験不足ですね。その時は落ち込む暇もなく、「ただ必死」で事態に対処していました。今だから言えることかもしれませんが、物事がうまくいかす、八方ふさがりの状況がたとえ2年、3年と続いたとしても、必ず「ここだっ!」というチャンスは巡ってきます。焦らずに、自分に可能な限りの力を尽くせば、最初はうまくいかなくても、必ずチャンスを捕まえられると思います。

●建築設計の仕事で印象に残っていることは?
昨年、出張で福井県に行った際に「福井県立恐竜博物館」を訪れました。この博物館は、設計事務所に勤めていた頃、プロポーザルから設計、現場監理までを担当した私にとって思い出深い建築。久しぶりの訪問でしたが、開館から10年が経っても多くの方でにぎわっていました。また、手入れも行き届いていました。自分の設計した建築が、全国からやって来た皆さんに親しまれ、大切に使われている…そのことが、うれしかったですね。

●先生お薦めのスポットは?
パリには「パッサージュ」というガラス屋根のついた、日本の商店街のような通りが20ヶ 所ほどあります。レ卜口な雰囲気の店が軒を連ね、歩くと楽しい、心地よい空間です。これからの空間・建築設計にもこの「歩いて楽しい」という要素が求められると考えています。人が短期間で長距離を移動できる時代だからこそ、人間のスケールに応じた「歩いていて、次々と移り変わる情景が楽しめる」、そんな空間が重宝されていくと思います。旅行でパリに行った際は、ぜひパッサージュを訪ねてみてくださいね。

●日本の建築の良さとは?
京都の「詩仙堂」をご存じですか?庭と建物が一体となった素敵な場所なんですが、他にも、静かな庭のある空聞が京都にはたくさんあります。それらには、縁側と庇があって、庭があって、植え込みがあって、木があって、塀があって…人が住まう空間を「薄い紙」で一枚一枚覆っている、そんなイメージで空聞が構成されているんです。いろんなもので包みながら作られた空間美が、日本にはある。ガッチリとしたもので囲まない、その「暖昧さ」こそが、静かな心地良さを生む秘訣なんだと私は考えています。

●最後にメッセージを
自然科学や技術、法律、経済などの理性的な側面と、哲学や心理学、歴史や文化など人間の内面的な側面から検討し、ベストな答えを具現化すること。そこに、建築デザインの本質が隠れているのだと思います。答えは一つとは限りません。そして、常に「生みの苦しみ」が伴います。ただ、苦しみや悩みも含めてやりがいを感じるところに本当の楽しさはあるはずです。学生の皆さんも、単位を取るため、卒業するために仕方なく勉学に取り組むのは楽しくないかもしれませんが、自発的に取り組めば学生生活の充実度はずいぶんと変わるはず。お互いに好奇心を忘れず、楽しみながら学んでいきましょう。

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