「自然、仏教、ペルシャ。全てを含めたものをつくるところが面白いんです」
イタリアで昨年12月に開かれた、アフガニスタンの世界遺産バーミヤン遺跡の修復保存を考える専門家会議で、考古的遺物を展示するだけでなく、現地の人々が共に学べる博物館の建設構想を発表した。
出発点は2011年、東京での専門家会議。前バーミヤン州知事が「文化遺産保護に対する意識を高め、住民同士の絆を強める場がない」と発言したことを機に、博物館構想が具体化していく。
建築学科長を務める武庫川女子大(兵庫県)の建築・都市デザインスタジオが中心となり、基本設計を担当。自然景観との融合を考慮し、ペルシャ文化の影響を受けたさまざまな様式の仏教石窟や、現在のイスラム教文化も踏まえた「異文化の合体」を表現した。
博物館に加え、バーミヤンの文化を学ぶ文化センター、遺跡を背景にした野外劇場、崖に石窟を復元した庭園…。イタリアの会議場には、日本から空輸した500分の1の模型を展示した。03年の世界遺産登録以来、博物館建設を切望しているアフガン政府も構想を歓迎した。
構想発表に合わせるように、韓国政府が博物館の建設費用として約5億5千万円の提供を表明した。「わたしたちの案に基づいて建設を始め、その後、日本や他の国の支援で続きを実現できれば」。まだ見ぬバーミヤンを思い描きつつ、博物館への熱い思いがほとばしる。
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