第6回 我々が、見ているのはありのままの現実か

−知覚心理学ー

2005/6/7

今回は、知覚、なかでも「見ること」と心とのかかわりを考えます。

まず「illusion(錯視)」をたくさん紹介しました。

錯視がおもしろいのは、「わかっているのにどうしてもそうは見えない」ということです

これは我々が脳で行われてる視覚情報処理のすべてをモニターできてないことを示しています。

「ないものが見える」主観的輪郭も同様に要素に分解する視覚情報処理の特質がよくわかります。

また、「わかっていれば見える」ドットパターンや「見たいものだけ見える」図地反転図形や多義図形は、

知識が知覚に及ぼす影響の大きさを示しています。

これを機会に「見えること」と「存在すること」の関係を考え直してみてはどうでしょうか?

第6回:我々が見ているのはありのままの現実か?
−知覚心理学−

1 イリュージョン(錯覚)が教えてくれること
<実習1> タテとヨコ、同じ長さなのはどれ?

・ 水平-垂直錯視
・ ミューラー・リヤーの錯視  → 「物理と心理、間違っているのはどっちか?」

2 「分かっているのに見えない」
 (1) 幾何学的錯視
・ ポンゾの錯視  −遠近法的解釈−


・ ツェルナーの錯視

・ フレーザーの螺旋
・ エビングハウスの錯視
・ ジョバネッリの錯視

 (2) 日常生活の中の錯視
・ アイスクリームの錯視
・ 月の錯視

 知覚はどこで生じるか?−視覚の神経的基礎−
<実習2> 盲点を探せ!

<VTR1>  回転運動と傾きの知覚
<実習3> 運動残像を体験しよう!  
→渦巻き図形希望者には次回の授業で配付します

<VTR2>  動きが見えない人


3 「ないものが見える」
 (1) 主観的輪郭 カニッツァの三角形

 (2) ベンハムの円盤
  「ものには色はない」(I. Newton)

4 「分かっていれば見える」
  ・ドットパターン

5 「見たいものだけ見える」
 (1) 図地反転図形
   ・ルビンの盃


   ・カナダ国旗
   ・ナポレオンの隠し絵
 

 (2) 多義図形
   ・老婆と娘


   ・アヒルとウサギ
   ・Broken B
   ・RAT MAN

6 結論

   「我々は脳(心)でものを見ている」
 
 「私は明るさや色調を見ているのではない。空を、木を見ているのだ」(M.Wertheimer)

7 哲学的問題提起

  「見えること」と「存在すること」は同じか?
   <VTR3> 「マトリックス」

講義で使ったpptファイルです

Slides

質問はこちらへ!

E-mail

もっと詳しく知りたい人へ

Books

錯覚の心理学

椎名健

講談社現代新書

1995年 \650

脳と心

NHK

サブリミナルマインド

下條信輔

中公新書

関連HPはこちら

Link

Top