Bamiyan Museum
 
9. Petra Museum Project 2013
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Perspective view from the praza
 
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Perspective view from the street
 
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Perspective view from the western garden
 
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Entrance hall  
 
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Exhibition room
 
ペトラらしい博物館とは
 
2012年10月13日
岡崎 甚幸
 
 2012年8月27日私は初めてペトラ渓谷を訪れた。ゲイトを通り、枯れた川Wadiに沿ってしばらく歩いた。やがてシークSiqと呼ばれる深い渓谷を縫うように進んだ。曲がりくねって続く狭い道の両側に、空が見えなくなるまで、そそり立つ磐壁。道の行く手に折り重なる、両側の高い磐壁の隙間から、突然現れてきた紀元前一世紀にできたと言われるエル・ハズネEl Khaznehの姿に驚いた。
 エル・ハズネの前のやや広くなった渓谷を右にたどると、その両側にはさらに数々の洞窟、ローマ劇場、王家の墓、柱廊通り、凱旋門、ペトラ考古学博物館などがあった。この異様な谷間では、なんとも言いようのない、私にとって全く未知の魂達が、磐影から私を見ているように思えた。それらは紀元前からあるいはその後、それぞれの時代からここにずっと住みついている魂だった。
 次の日の朝、砂漠の中を歩いて新石器時代の住居群跡を訪ねた。石を積み上げた囲いの上に、簡単な梁と葦で屋根を架け、その上に粘土を載せただけ原始住居が二棟復元されていた。その周りには駱駝草や見慣れない砂漠の花が、小石と砂と岩が織成す大地の上にぽつぽつと立っていた。山羊の皮でできた白黒模様のテントがあった。そこからべドウィンの山羊の群れが岩場に出かけていた。帰り道、同じように岩窟墓が並ぶ渓谷小ペトラに行った。
 午後は洞窟博物館や巨大な神殿跡を訪ねた。またビザンチン教会の床のモザイクが残る丘に登り、そこから広々とした、柱廊通り、神殿跡、遠くの巨大岩窟墓群を見渡した。
 ここには日本の神社や寺院、あるいは教会やモスクなどとは全く違った独特の雰囲気があった。それは雰囲気と言うより強烈な魂の交響曲と言っても良いものであった。岩のあちこちから無数の魂がこちらを凝視しているような渓谷であった。
 現代建築が群がる今の巨大都市にはこの魂の類がまったく感じられない。だから世界中のどこの巨大都市も、みな似たような無機質なものになってしまった。科学と幾何学によって、機能と経済性だけを追求する現代建築群を、石油や鉄などの莫大な地球の資源を使って、ここ数十年の間に造ってしまった。そしてそれを維持し、その中に住むためにまた膨大な石油を必要としている。
 ゴシックの教会は神の世界を目指して造られた。全体にも、また同時に全体を構成する各部分の一つ一つの形にもそれを感じることができる。しかし現代建築は神に替わる何を目指しているのだろうか。
 ところが、このペトラの博物館の設計では目指すものがはっきりしていた。それはあの渓谷で感じられた魂であった。ペトラの魂は、赤い巨大な、うねるような磐々が織なす渓谷全体の雰囲気の中にあった。さらに磐に刻まれた岩窟墓、その壁、軒蛇腹Cornice、軒蛇腹の上に立つ横壁Attic Storey、そこに刻まれた天に昇ることを象徴する階段Assyrian Crowsteps、破風Pediment、柱型Pilasterなどにも魂が宿っていた。しかし今回見ることができなかった渓谷の上にある多くの遺跡にも、さらに新しいペトラの魂とその形を見つけることができるはずである。我々は一つの文化の中にある個々の固有な形に、その文化の魂を特に感じるのかもしれない。
 このペトラ博物館には世界中の人が訪れる。だからそこにはペトラの魂が宿っていなければならない。世界の大都市にあるのと同じ無機的な空間では訪れる意味がない。
Project Members

■ Project Director; Architectural and Landscape Design
 Shigeyuki OKAZAKI: Professor Emeritus, Kyoto University,
          Professor, Head, Department of Architecture, Mukogawa Women's University

■ Architectural Design and Edit
 Department of Architecture, Mukogawa Women's University
  Toshitomo SUZUKI
  Hideaki TEMBATA
  Junko MORIMOTO
  Aya YAMAGUCHI

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