患者さんのメリット

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 ジェネリック医薬品の最大のメリットは,なんといっても「安い」ことです。先発医薬品の薬価と比べて,ジェネリック医薬品の薬価は2〜7割となっていて(開発費を考えるともっと安くても良いような気もしますが・・・),患者さんの負担は多少軽くなっていると思います。経済的負担の軽減は,患者さんにとってメリットではありますが,これは最大のメリットとは思えません。現在でも,治療や予防ができない病気もたくさんあり,まだまだ新しいお薬を待っている患者さんはたくさんいらっしゃるのです。

 新薬メーカーは,莫大な開発費をかけてでも新しいお薬を作るのが仕事なのですが,現在はジェネリック医薬品メーカーが新薬開発に必要な開発費の一部(ジェネリックのシェア80%を目指していますので,もはや大部分)を持っていってしまうようなことになっているのです。

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 新薬Aを開発すれば,一定の利益が発生します。その利益の中から,さらに新しいお薬Bを作るための開発費を捻出するわけです。さらに,この利益で新薬Cを開発する・・・というわけですが,現在の状況は新薬Bの利益の一部(or 大部分)をジェネリックBが持っていってしまうことになっています。当然のことながら,新薬Cを開発する費用が無くなり,新しい疾病やまだ治療薬の存在しない疾病を治療したり,予防することができなくなってしまうわけです。

 お薬代が多少安くなることと,今まで治らなかった病気が治療できることと,患者さんにとってどちらが最大のメリットなのでしょうか。人によって意見が異なるのは当然のことですが,病気や薬のことについて関心を持っていただけたら幸いです。

Since 1998.08.25〜 連絡先:松浦寿喜(chuchan_net@yahoo.co.jp)