バイユー

99.8.20作成
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 ノルマンディー公ウイリアムのイングランド征服を描いたマチルダのタピスリのあるバイユーへは、パリから日帰り旅行で行くことができる。

  アンジェ城の黙示録のタピストリーは、あたかも日本の絵巻物のように連続した物語を描いているが、ノルマンディー地方NormandieのバイユーBayeuxには、もっと古い時代に作られた「王妃マチルダのタピストリTapisserie de la Reine Mathilde」と言われる絵巻物のようなタピストリーがある。征服王ウィリアム(ノルマンディー公ウィリアム)のノルマンコンケスト(征服)を描いたタピストリーである。この王は、ヨークの城も建てたイングランド王であるが、元は北フランスのノルマンディー公のギヨームで、イングランドのエドワード懺悔王の死後の王位継承問題に乗じて、1066年ノルマンコンケストを敢行して、イングランド王ウィリアム1世として即位してノルマン朝を開いた王として世界史上有名である。高校の世界史の教科書にも挿し絵としてこのタピストリーがとりあげられることがある。そういう意味で歴史的価値の高いものである上に、11世紀の作品である点からも貴重なものである。
 このタピストリーは、図柄が織り込まれているのではなく、長さが70メートル、幅が50センチの麻布に8色の羊毛の糸で刺繍がなされたものである。したがって、正式な意味でタピストリーではない。このタピストリーは、上部の4分の1、中央部、下部の4分の1の3つにわかれており、中央部に物語が描かれている。上下の部分は物語とは何も関係のない、想像上の動物とか、唐草模様などの奇妙な図柄が描かれている。
 
 

 
 ウィリアムとイングランド王を争ったハロルドとのかかわり合いから、1066年の戦い(ヘースティングズの戦い)でのノルマン人の勝利までが描かれている。軍隊がモン・サン・ミッシェルの浜で流砂に飲み込まれる様、ハレー彗星、多くの船で海を渡っていく様、騎馬戦の場面、累々と横たわる死骸などの興味深い場面がある。また、当時の軍隊の装束や戦術がわかるし、船や武器の史料としても価値がある。古いものではあるが、あまり色あせたという印象はない。この博物館は、タピストリー以外にもそれにまつわることが展示されているし、実物を見る前にホールで英語または仏語による解説映画(20分)を上映してくれたり、日本語を含む各国語によるヘッドホン解説サービス(有料、20分)があったり、日本語のガイドブックが売られていたり、多くの配慮がなされている。

 
バイユーの街
バイユーのノートルダム寺院
寺院の内部
バイユーの街

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