牛田研究室の紹介

  生活が豊かになって,自然から得られた色を身につけたいということから,天然染料への関心が高まってきた。その中でも藍は最も代表的であり,商業的にも多くの藍染め製品が作られている.藍は古くから世界各地で用いられてきた染料であるが,19世紀末に,その色素(インジゴ)が化学的に合成されたことで,合成藍によってもほぼ同じ染色物を得ることができるようになった。
 伝統的な藍染めについては、まだまだ科学的に未解明の部分がある。本研究室では、藍染めについて、科(化)学的な観点から研究している。

 天然藍による染色物は,その中に含まれているさまざまな不純物が一緒に染色されて,染色物にそれらの色が複合した形で反映されていることや,天然藍に含まれる有香成分のため,合成藍による染色物と区別することができる.ただし,よく洗うことによって,それらは除かれ,合成藍による染色物との区別がつきにくくなる.また,合成藍で染色したあと1回だけ天然藍で染色したり,藍とは別の植物から作った堆肥状のもので処理しても,そのような色合いや香りを作り出すことはできるかもしれない.このようなことから,天然藍のみによる染色物と,合成藍を用いた染色物とを,外観から識別するのは困難である.実際,天然藍による染色布は合成藍による染色布と素人には容易に見分けることができないということがよく言われる。このことは,合成藍で染色した藍染め製品を,天然藍で染色したかのように見せた商品を生み出すことにつながっている.本研究室では、ある藍染め製品が天然藍で染めたものであるか,合成藍で染めたものであるかを識別できることを見出している。

 藍染めには、建て染めと生葉染めがあるが、本研究室では、生葉染めで、赤色色素であるインジルビンを多く生成させる条件について検討し、その結果、藍染めにおいて、絹布を紫色に染色するよい方法を見出した。

 現在は、上記のことをもとに、さらに研究を発展させている。


大変狭い研究室です。実験もデスクワークも食事もここでします。
入口を入って、すぐの所には、分光光度計(島津 UV−260)と電子天秤があります。

奥には、ドラフトがあり、その横に、高速液体クロマトグラフィーの装置があります。
フォトダイオードアレイ検出器が接続されていますので、色素の分析には威力を発揮しています。
写真の手前にはボンベが見えますが、アルゴンのボンベです。
実験台は、デンマーク製で、引き出しのオレンジ色が目立ちます。
実験台の上には、エバポレータ(左)、高圧滅菌器などが見えます。

  

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 98.10.7作成、最終更新:06年2月