藍の生葉染め
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   藍染めには、建て染めと称する方法と、新鮮な藍の葉をそのまま使って染める方法があります。最近は、自ら藍を栽培して、その生葉で染めようという人たちが増えています。 生葉染めでは、木綿や麻は染まりませんが、絹や羊毛をきれいな水色に染めることができます。以下にその概略を紹介致します。
 
 藍は青を染める染料ですが、藍の生葉染めでは、青以外の色を染めることもできます。誰もが簡単に自分で栽培でき、日本人にとって最も身近な染料植物であるタデアイから、様々な色を染色できることは、藍染めの可能性を大きく広げるものです。紫染めの方法に関する研究の一端は、別のページで紹介します。月刊「染織α」誌のNo225(1999年12月号)にも詳しく載せていただいておりますので、御覧下さい。
藍の生葉による紫染め

いつでもできる「生葉」染め(生葉の保存法)
 藍の生葉染めの最大の欠点は、新鮮な生葉がないとできない、という点です。藍を栽培しても、葉が茂っている季節にしか生葉染めはできません。それは、藍の生葉は、採取して乾燥させると、インジゴが生成してしまい、建て染めでしか染められなくなってしまうからです。今回、藍の生葉を電子レンジで乾燥させれば、インジカンを保持した状態で葉を保存できることができ、季節に関係なくいつでも「生葉」染め(ただし、使うのは生葉ではなく、乾燥葉になります)を行うことができることがわかりました。詳細は、月刊「染織α」誌のNo246(2001年9月号)に、「いつでもできる藍の生葉染め〜藍の生葉の保存と染色方法〜」とい標題で、掲載していただいておりますが、バックナンバーは手に入らないようですので、別のページに詳細を掲載しました。是非御覧下さい。(2004.3.1)。
いつでもできる藍の生葉染め
タデアイの種の配布は終了しました。

 タデアイを種から育てて染めてみたいと思っても、種がなかなか手に入りにくいと思います。園芸店の中には市販しているところもあるようですが、より多くの方に、種から藍を育てて、染色を楽しんでもらえるように、例年タデアイの種の配布を行っています。今年も2017年2月から行ってきましたが、種を蒔く時期も終わりましたので、配布は終了しました。

 当方では栽培ができておりません。種をお送りいただける方がおられることで、配布を継続できています。もし、2017年の秋にとれた種が充分確保できれば、2018年2月中旬くらいから配布を再開する予定です。配布が行われるか、行われないかは、その頃このページをご覧下さい。ご連絡はこのページのみで行いますので、配布を行うかどうか等、個別のお問い合わせはご遠慮下さい。<2017年5月17日> 

藍の栽培
 藍は、水を好むので、水を十分にやるのが重要。ただし、やりすぎるのはよくない。水に飢えた状態にしてやると、根をはるので、適宜加減する。また、根を深くはるので、プランターよりも地面の方がよい。プランターや鉢は、大きめがよい。


◆地ごしらえ
 地面かプランターに細土を盛り、石灰をまき、よく耕し平らにする。
◆蒔種:3月上旬から4月に行う。(大安の日がいいかもしれない)
 地ごしらえした所に種を蒔く。
 種を覆っている薄茶色の皮を、手で揉んで除いてやると発芽しやすい。
 藍種が隠れるほどに砂をまく。
 芽が出るまで、2週間ほどかかる。雀に食べられないように注意する。
  御神酒をまつり、一年間の藍作の無事を祈るといいかもしれない。
◆苗床の間引き
 種蒔き後、15日くらいで双葉が見えてくる。
 1か月後、苗が2cmから3cmくらいに成長したら、必要に応じて間引きを行う。
 間引いた苗は、別の所に植えておく。
◆藍の定植
 本畑は、肥料(牛糞や魚粉も必要)をほどこし、石灰を散布し、良く耕しておく。
 20cmくらいに成長した苗を、苗床に散水して土をやわらげて抜き、
 4本から5本づつひとまとめにし、30cmから50cm間隔で、本畑に植えかえる。
◆管理
 定植後1週間から10日位後、さらに1カ月ずつ後くらいに、肥料を施す。
 アブラムシがつくので、必要に応じて薬剤を散布する。
 


藍の生葉染めの原理と方法

 藍染めには、建て染めと生葉染めがある。建て染めは、水に不溶の藍の色素(インジゴ)を含む染料(すくもやインド藍や合成藍)を、微生物の発酵や化学的な薬品(ハイドロサルファイト等)を利用して還元して水溶性にしたのち、繊維にしみこませ、繊維中で酸化させて再びもとのインジゴに戻すことで染める方法である。それに対して生葉染めは、新鮮な藍の葉に含まれている藍の色素の前駆体(無色)を繊維にしみ込ませて、繊維中でインジゴを生成させて染める方法である。「草木染」の登録商標を所有しておられた、山崎青樹氏が、1969年頃にフト始めた方法だと言われている。

 藍の生葉染めは、新鮮な藍植物がとれる場所や、収穫した時にしか染色できないということや、絹や羊毛やナイロンには染色できるが、木綿や麻は染まらないということから、一般的な藍染めとして行い難い面がある。しかしながら、建て染めでは得られないような鮮やかな色に染色できることや、藍の葉さえあれば、すぐに藍染めができるという利点から、広く行われるようになってきている。特に、自分自身で藍を栽培して染色まで行おうとした場合、枯れてインジゴ色素が生成した藍で、化学建てにより藍染めを行うのであれば比較的容易であるものの、すくもを作って建て染めを行おうとした場合、大変な労力が必要である。それに対して、生葉染めは簡便であり、誰でも行うことが可能である。
 藍の生葉染めの方法としては、山崎青樹氏の紹介している方法を基本に、多くの文献でその技法が紹介されている。
 一般に藍の生葉染めは、葉をミキサーで粉砕したり刻んでインジゴの前駆体であるインジカンを溶出させ、葉の中に含まれる酵素で加水分解させて、インドキシルを生成させ、これを絹布にしみ込ませてインジゴを生成させる、という方法がとられる。溶出や染色に時間をかけずに行うのがコツである。
 

藍の生葉 刻んだり砕いたりした液

藍の生葉染めをしてみよう (被染物が4g程度の場合)

 〜用意するもの〜

藍の生葉・・・約20gから60g(被染物の5倍から15倍、茎をとって葉だけ摘んだもの)
 生葉の量で濃さが変わる
水・・・・・・500ml

4g程度の絹のハンカチ・1枚(注:綿製品は染まらない)
ガーゼのハンカチ(二重になったもの)・・・・1枚
ボール・・・・1個  

〜生葉染めの仕方〜 

  1. 生葉約20−60g(茎を取って葉だけ摘んだもの)を軽く水洗い後、はさみでなるべく細かく刻み、二重になったガーゼのハンカチを切った中にくるみ、口を輪ゴムでくくり、中の葉が出ないようにする。
  2. ボールに水500mlを入れ、1のガーゼに包んだ藍の生葉を水中で10分程度揉み出す。だんだん染料液が緑になり、少し粘りが出て藍の葉がどろっとした感じになるまで行う。(注:かなり、力を入れて揉む必要がある。空気中にガーゼが出ないように注意!)
  3. ガーゼをよく絞って取り出す。これで染色液の完成。
  4. 絹のハンカチを少し水で濡らし、染色液の中に入れ、20分〜30分間染色する。この時、ムラにならないように布を染色液中でよく動かして混ぜる。空気中には出さないようにする。染色時間があまりにも長いと、くすんだ色に仕上がってしまうので注意。
  5. ボールから絹のハンカチを取り出して軽く絞り、空気に十分さらす。そうすると、さらに青く発色してくる。空気中でしばらく広げて15分〜20分ほど干して酸化させることが大切。ここで、色が薄いようであれば、2〜3回染色と酸化を繰り返ししてもよい。
  6. 水洗いし、軽く中性洗剤で洗い、干して乾燥させて出来上がり。 
  7. ※ショールやセーターなど、大きいものを染めるときは、大量の生葉が必要なので、手で生葉を揉み出すのは大変な作業。そこでミキサーがあれば、生葉と水を加えて 粉砕して生葉のジュースを作り、ガーゼや綿布などで濾して染色液を作る。 また、網目の細かい生ゴミ用ネットを使うと、片づけるのに便利。いずれにしても なるべく葉のカスを入れるとくすんだ色に仕上がってしまうので、葉を取り除いた染色 液を作ることが大切。

藍の生葉による叩き染め

 藍の葉を使った、最も簡単な染め方に、「叩き染め」という方法がある。藍の生葉染めは、上でも述べたように、鮮な藍の葉に含まれている藍の色素の前駆体(無色)を繊維にしみ込ませて、繊維中でインジゴを生成させて染める方法であるが、布上で葉を叩くことで、葉の成分をしみ込ませれば、葉の形を、青く布に写すことができる。

 
藍の葉を布の間に挟む   葉をつぶすように、上から叩く(机を汚さないようにラップに挟んだ)   葉の形がついたら、1時間程度放置   葉の残骸を取り除き、十分酸化させてから、洗剤でよく洗うと、葉の緑色はとれ、インジゴの青が布に残る。
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葉の形を写すことで模様を作ってもよいし、型の上から葉の汁を擦り込んで、好きな形に染めてもよい。


藍の生葉染めに関して、詳しくしくは、次の書籍も参考にして下さい。

藍の生葉染めの方法が記載されている本
 山崎青樹 『草木染の技法全書T 糸染・浸し染の基本』、美術出版社(1997)
 崎和樹 『草木染−四季の自然を染める』、山と渓谷社(1997)
 箕輪直子 『たねから育てるあいの生葉染め絵本』、文一総合出版、東京(1997)
 くさかべのぶゆき アイの絵本』、、東京(1999)
 


藍の生葉による紫染め

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1998年10月作成、2000年1/29、3/02、8/10、12/30一部改訂