CASE 01

ロングバージョン
外国ルーツの
子どもたちへの学習支援で、
私自身も成長する
文学部 日本語日本文学科 3年生 多鹿希輝さん(取材時)

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共に成長する居場所「ふでばこ」

「ふでばこ」は、外国にルーツを持つ子どもたちのための学習教室。マンツーマンで子どもたちの学習を補助したり、学びにつながるゲームを用いたイベントを開いたりといった活動をしています。「次はいつ?」と楽しみに待ってくれている子どもたちの存在が、活動を続ける一番のモチベーションになっています。コロナ禍では居場所づくりを重視したイベント開催に力を入れていましたが、現在は学習支援を中心とした活動に再びシフトしています。勉強時間を守るようにルールを導入するなど、ふでばこは勉強する場所という意識を子どもたちも持ってもらえるよう工夫しました。

言葉の壁を越えた相互理解を目指して

活動のなかで一番大変だったのは、子ども同士のケンカの対処でした。外国にルーツを持つ子どもたちは日本語の壁があり、自分の気持ちをうまく伝えられず、相手の感情を正しく受け取れないことがあります。また、文化の違いから同じ感情になれない場合もあります。そこで私たちが間に入ってそれぞれの気持ちを話してもらい、嫌だと思った理由や喧嘩の原因を掘り下げていきました。時には、文化や性格の違いで根本的な解決が難しい場合もありますが、共感を示しながら寄り添うよう努めました。

周りを頼り、周りから頼られる存在として

私自身は「ふでばこ」のリーダーを経験し、人に頼ることの大切さを学びました。周りを引っ張っていく役割ですが、手一杯なときは助けを求め、自分には無い知識を教えてもらうことも大切だと実感したからです。「ふでばこ」の活動で感じた疑問や課題が、メンバーや先生方との会話の中で解決されることもありました。たとえ"抱え込めない"量でなくても、"抱え込まない"方が、周りのためでも自分のためでもあることを意識するようになりました。生徒の思いや考えに耳を傾け、一緒に考えることができる伴走者でありたいと思っています。