第9章 発達上の心の問題

短教1年

7/1 (AB)

6/30 (CD)

この短大でこの授業を受けてもらっている皆さんはみな健常な発達を経てきたはずです。

しかし、様々な原因によって、知的な能力や社会性などの発達に問題をかかえている人たちがいます。

保育園でも幼稚園でも、そのような子どもに出会わないことはありません。

今回の授業では、そのような発達障害の種類、基準、原因について解説しました。

障害の本質を理解することで、差別意識が少しでもなくなればと考えています

2 知的障害の原因と疾病


◇生物学的要因と疾病例
  1)感染  :(妊娠中)
先天性風疹、トキソプラズマ症、梅毒
       (出生後)脳炎、髄膜炎、


  2)中毒  :(妊娠中)
妊娠中毒(出生後)一酸化炭素中毒


  3)外傷  :異常分娩に伴う仮死等による
酸素欠乏や、機械的損傷、脳障害


  4)代謝障害:
フェニールケトン尿症:頭髪や皮膚の色素が少なく、筋肉硬直が見られる
        
クレチン病:乳児期前半の甲状腺ホルモン投与で知的障害を予防できる


  5)新生物 :結節性硬化症、脳腫瘍


  6)形態異常:小頭症、水頭症

  7)染色体異常: ダウン症候群    [ビデオ9.1]
          原因:染色体異常、通常
21番目の常染色体数が3個(トリソミー)

             で、正常より1個多いため全部で47個ある。
          出現率:約 
0.1 %
          症状:特有な容貌(目尻の上がった細い目、厚い舌、短く低い鼻)
             末端の発育不良、皮膚や筋肉の強度な弛緩
          合併症: 
心臓病  が多い

  8)原因不明: 自閉症    (第5章「心の理論」参照 メRAINMANモ )
         出現率:約 
0.02〜0.05 %、 男児  に多い
         診断:通常は生後 
 歳頃までに診断
         症状:@ 
対人関係の障害    
            「呼んでもふりむかない」「視線が合わない」

            「他児に関心を示さない」など
            A 
意思伝達の障害    
             言語発達の遅れ、おうむ返し、独り言(気に入ったCMや歌など)
            B 
執着的・常同的な行動    
             こだわり(家具の配置や日常行動の順序など)、自己刺激行動
             無理にやめさせるとパニックを起こすことも。

         ○およそ 70〜80  %に知的障害が見られる。
            →見られない場合を  
高機能自閉症  と呼ぶ
            (
アスペルガー症候群:(狭義には)意思伝達能力もある場合)

   ◇自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群をあわせて自閉症スペクトラムと呼ぶ

★サブメッセージ9.2:発達障害と診断されてもできることはある            
           子どもの可能性を信じよう
            

メインメッセージをもう一度
無知が差別を生み出す。発達障害を正しく理解しよう

講義で使ったpptファイルです

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もっと詳しく知りたい人へ

Books

子どもの発達臨床心理

岩川淳・杉村省吾・本多修・前田研史

昭和堂

2000 \2400

乳幼児発達心理学

繁多進

福村出版

1999 \2000

知能指数

佐藤達哉

講談社現代新書

1997 \640

のび太・ジャイアン症候群

司馬理恵子

主婦の友社

1997 \1500

関連HPはこちら

Link

次回の授業は?

「第10章 まとめ」

(時間があれば...)

軽度発達障害とその対応について説明します。


これまでの授業をふりかえります。

授業アンケートの結果を報告します。

試験についての情報を話します。

予習

学習障害(LD)または注意欠陥他動障害(ADHD)について知っていることを書いてください。全く知らない場合は、授業の感想を書いてください。

kitaguti@mwu.mukogawa-u.ac.jp

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