第6章 性格とは何か?

子どもの心を理解するために(1)

大教2年

6/9 (ABCD)

6/11 (EF)

子どもの心を理解するために「性格」とその測定法について学びます。

といっても、子どもの性格の測り方を練習するわけではありません。

今回は質問紙法という方法を学びますが、その使い方が大事なのではなく、

心理学の中では人の性格を表すのにどのような尺度を用いるのかに注目してもらいたいのです。

この授業を経験することによって、人を見る見方が多面的になってもらえれば幸いです。

教育場面だけに限らず、人間関係を作る上で大切なことです。

第6章
性格とは何か?

メインメッセージ6
人の心を測るものさしをたくさん持とう

 [実習6.1]自分の性格をどれくらい把握していますか?

1 「性格」とは何か?


(1) 人間の性格の構造

気質

狭義の性格

役割的性格(ペルソナ)

(2) 気質と役割的性格


 ・乳児の行動特性(Thomas & Chess, 1986)
(1) 活動水準 (2) 周期性 (3) 接近・回避
(4) 順応性 (5) 反応性の閾値 (6) 反応の強さ
(7) 機嫌 (8) 気の散りやすさ (9) 注意の範囲と持続性

 ・役割的性格:Zimbardoら (1971) の 「 監獄実験  」

(3) 性格のとらえ方

類型論
  Kretchmerの体型類型論
  血液型性格類型

特性論
  YG性格検査の12因子
(抑うつ性、回帰性、劣等感、神経質、主観性、協調性、積極性、活動性、衝動性、非熟慮性、支配性、外向性)
  性格5因子説

 ★サブメッセージ6.1: 人をタイプにあてはめることを止めよう          

2 性格の測定法


質問紙検査法

例 ) Y-G, MMPI, TEG 5因子性格測定
特徴)
具体的な行動を中心とした質問に答えさせる

長所)信頼性、妥当性が高い 実施が容易

短所)被験者の意図入る

作業検査法

例) 内田クレペリン検査

特徴) 比較的負荷の高い作業をさせ、その成績の推移から性格を測定する

長所)被験者の意図が入らない

短所)解釈に熟練必要   被検者の負担大


投影法

例)ロールシャッハ, TAT,P-Fスタディ, TST, バウムテスト
特徴) あいまいな文章や図形を見せ、その反応から性格を測定する

長所)被験者の意図が入らない

短所)解釈に熟練必要 信頼性が低い

3 質問紙検査


[実習6.2]小学生用5因子性格尺度(FFPC)をやってみよう

*協調性  人間関係を重視。他人の気持ちを思いやり、共感や信頼を強く感じる傾向
*
統制性  ある一定の価値基準に従って自己を統制。責任感が強く、積極的に取り組む
 
情緒性 ストレスや脅威、他人の思惑に対して敏感。緊張や不安が強く落ち込みやすい
 
開放性 発想がユニークで、好奇心、探究心が強い。一方では現実回避の傾向も
*
外向性  活動的で自己顕示傾向が強い。怒りなどの感情を抑えるのが苦手


表中の平均値は曽我(1999)の研究結果、*は男女間に有意差あり
 
<よい性格検査の条件>
 信頼性:
いつどこで誰が行なっても同じ結果が出るか?
 妥当性
個々の質問項目が測定したい概念からずれていないか?

<質問紙検査の結果をゆがめる被検者側の問題>
  社会的望ましさ・自己評価の維持           →
建前得点(Lie尺度)などの導入
  状況や気分による自己イメージの変動         →
一つの性格特性に複数の項目
                             
再テスト
  反応スタイル(黙従傾向、反発傾向、不決定傾向など) →
逆転項目、不決定得点など

★ サブメッセージ6.2:性格検査は万能ではない。特徴を知って用いることが必要 

 

メインメッセージをもう一度
人の心を測るものさしをたくさん持とう

講義で使ったpptファイルです

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Books

やさしい教育心理学

鎌原雅彦・竹綱誠一郎

有斐閣アルマ

1999 \1900

性格は五次元だった(性格心理学入門)

村上宣寛 村上千恵子

培風館

1999 \1700

心理学マニュアル 質問紙法

鎌原雅彦 他

北大路書房

1998 \1500

関連HPはこちら

Link

次回の授業は? (6/16, 6/18)

「第6章 性格は測定できるのか?」

性格測定法のうち、作業検査法と投影法を体験してもらった上で、その背景を説明します。

予習

「性格」にこだわり過ぎることの問題点をかんがえてください。

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