建築史U 妻木 靖延
授業目標:  日本建築の歴史の流れを学び、建築関係(インテリア)に係る者の常識を広げ、より豊かな教養を身に付けることを目標とする。
科目内容:  歴史を学ぶことは過去の事実を知って未来の糧とするところに大きな意義がある。新しい建築が突然現れるものではなく必ず過去の建物の関連がある。又古いと思はれる物の中にも新しい発想のヒントや学習をさせられることも多々ある。更に近代建築は日本建築に少なからず影響を受けている。従って講義では日本建築の淵源を尋ねその流れを知ることは建築やインテリアの制作する人々の教養としても必須の条件である。さらに、日本建築は庭園と共に成り立つものである。一方日本庭園は独自の造形芸術としての意味も大きく自然の風景を題材としている点で他の芸術とまったく違った特徴を持っている。このことを意識し本質をよく把握した上で庭園観察は他の芸術を含めて「美」を理解する条件である。本講義ではその文化的意義、発想、演出等名園や茶室の露地等具体的な例により、日本建築と併せて学ぶ。
授業計画: 1 建築を構成する上で必要な根本的な構造の説明で軸組構造以外の構造もあることを理解する。
2 各時代区分の説明を行い時代の流れを再確認する。
3 古い建築の各部材名称を解説しそれを理解することにより各建築の説明が容易に理解出来るようにする。
4 上古代、建築の始めを解説する。
5 飛鳥時代を中心とした古代の建築遺構とその背景を解説する。
6 平安時代、密教建築と阿弥陀堂形式の遺構とその背景を解説する。
7 古代より寝殿造りに至る住居の変遷を解説する。
8 中世の建築と鎌倉時代の各様式を説明し、室町時代に続く遺構を解説し時代による変化を理解させる。
9 近世の書院造りとそれと共存する庭園の見方も教える。
10 近世の代表的な堂宮の代表的なものを解説する。
11 近世の住居を解説しその発展形としての数寄屋、茶室等に重点を置き庭園も含めて全体として説明して行く。
12 適当な講義の進展を見ながら適宜スライドを使用して講義の復習を兼ねた説明を行いより深く理解出来るようにする。
評価方法: 期末試験により評価する。(100点満点)
教科書: 日本建築学会編『日本建築史図集』彰国社刊