バイオメカニクス 足立 長彦
授業目標:  人間の動作が地球上の物体のひとつとして受ける力学的な作用の理解。 人間の動作における筋の構造や機能の理解。
 人の歩行や走行運動などの動きの理解。
科目内容:  人間の様々な動きの測定や分析は、現代のエレクトロニクスの発展によって細部にわたって可能なものになってきた。スポーツにおいてもより高いパフォーマンスを獲得しようとする時、それを分析し発展させていくことが重要である。このことから、スポーツバイオメカニクスは力強い運動や巧みな運動など色々な運動を対象にして、その「からくり」を力学、生理学、解剖学などを駆使して明らかにすることである。
授業計画: 1 バイオメカニクスの発展の歴史、身体運動の分析がどのような歴史をたどり今日に至っているかを説明する。
2 運動成果とその構成因子:運動成果が何によって達成されるか。それを構成する身体資源(筋力、持久力、パワー)と運動技術の係わり方を、いろいろなスポーツ種目、例えば砲丸投げの記録の善し悪しは何によるのか、など具体的な例をあげながら説明する。
3 筋の構造と機能:筋の解剖学的な構造と肉眼的に見た機能を人間が動いた時に、どの筋肉が使われ、どのように作用するかについてを説明する。
4 筋肉の発揮:筋収縮の分類と筋力を規定する因子(筋断面積、インパルスの量、筋長、短縮速度)、筋力が発揮される時の力学的な要因、および、筋収縮による力学的な仕事とパワーについて説明する。
5 運動と力:力学的法則を静力学の観点から、力の合成、分解、力のモーメント、力のつりあい、摩擦について説明する。
6 運動と力:力学的法則を動力学の観点から、運動の3法則、運動量、力積、衝突、仕事、パワー、エネルギーについて説明する。
7 バイオメカニクスの分析方法:感覚的に捉えている身体運動を科学的手法、すなわち写真、映画、VTR、力量計、ゴニオメター、速度計測、筋電図、これらの方法によって客観的、定量的に分析する方法を説明する。
8 歩く:歩行動作の運動構造(歩行サイクル、歩幅、歩数)、筋の働き、歩行と力、歩行のエネルギー、歩行の発達などについて説明する。
9 走る:走動作の成り立ち(走動作のメカニズム、運動構造、走運動における身体の各部分)、走速度に対するストライドとピッチの関係、各種ランニング・フォームの分析、ランニングとキック力、走運動の発達、について説明する。
10 跳ぶ:跳躍運動の成り立ち、高く跳ぶ、遠くへ跳ぶ運動の分析(その場跳び、助走付き跳躍)、跳躍能力の発達、について説明する。
11 投げる:投擲物の運動の力学的分析(放物運動、初速度、投射角)、投動作の成り立ち(大きい運動量を与える動き、コントロールを良くする動き)各種投フォームの分析、投動作と力、について説明する。
12 打つ:打たれる物体の性質、打つ物体の性質、打撃動作のコントロール、打撃動作の発達とトレーニング、について説明する。
評価方法: 期末試験のテストにより評価する
教科書: 浅見俊雄他『身体運動学概論』大修館書店