算数科教育法  〈幼保コース〉 山岸 洋介
授業目標:  小学校教師に必要な知識技能を授けることが中心目標である。算数を苦手とする小学生が増加しているが楽しみながら算数ができないものか、自ら進んで意欲的に算数にとり込む子どもを育てるにはどうしたらよいか追求してゆく。
科目内容:  まず算数科の目標を歴史的に調べ現代の強調すべき目標を探求する。
各論として、数学的考え方、数と計算の指導内容の理解と指導法。量と測定の指導内容の理解と指導法、図形の指導内容の理解と指導法、評価法について言及する。小学生の算数指導では子どもの発達段階を考慮して進めてゆかねばならない。新教育課程の「生きる力」を育成する算数教育は如何にあるべきかも対象になる。
授業計画: 1 算数の指導法は時代とともに変化してきた。その時代が理想とする、また要請する人材の育成のために算数指導の目標、強調する点がかかげられてきた。現代には将来へ向けての指導理念が存在している。しかし現時代は前時代の算数教育の反省として立脚しておりこの意味で算数教育の歴史的考察が必要になってくる。そこでまず算数教育の概要と算数教育思想の歴史的変遷、和算時代、学制発布から明治中期までの概要。
 黒表紙教科書の発行とその時代の指導理念となった形式陶冶説にもとづく算術教授法。緑表紙教科書の発行と数学教育改良運動。
2 戦後における算数教育。昭和26年学習指導要領、系統学習と昭和33年学習指導要領、算数数学教育現代化運動とその背景、動向、そして現代化の反省。
3 「生きる力」の育成を目指して算数教育ではゆとりをもって自ら課題を見つけ、主体的に問題を解決する活動を通して学習を進めることができる授業の探求。
4 数学的考え方、数学教育の人間化、問題解決と数学的考え方。
5 数と計算についての指導、数の概念とその指導、整数の加法、減法、乗法、除法・概数の指導。
6 小数と計算についての指導、小数・分数概念の起源、乗法や除法の意味、小数と計算の指導の実際。
7 分数と計算についての指導、分数の意味、分数と計算指導の実際。
8 量と測定についての指導、指導の背景、指導の実際。
9 図形についての指導、物の形と図形の概念、図形の性質とその指導、推理の形式、立体図形の指導。
10 数量関係の指導、関数概念、式に表わしたり、よんだりすること、式、公式について、統計教育等、問題解決の指導、問題解決の思考過程と文章題の指導。
11 評価の問題、従来の評価法、形成的評価と総括的評価、これからの目標を達成するための評価の考案、諸外国の算数教育、アメリカの算数教育、イギリスの算数教育等
12 指導方法について、現在の小学校の教室において従来どおりの一斉授業は可能かどうか授業の方法を追求する。
13 諸外国の算数教育の特徴とわが国の算数教育との比較研究。
評価方法: 期末テストによって行なう
教科書: 数学教育学研究会編『新算数教育の理論と実際』聖文社
参考書: 文部省『小学校学習指導要領解説』東洋館出版社
留意事項: 算数が苦手であった人は算数を苦手としている子ども指導に効力を発揮する。