「去来抄」U 富山 高至
授業目標:  物語風に書かれた俳論である『去来抄』の場面をとらえ、その中から、去来を初め門人達の、発句についての発想や理解を通じて、蕉門の俳諧にふれる事を目的とする。
科目内容:  『去来抄』は、芭蕉の示教を門人の去来が記録した著書である。従って、その内容は、芭蕉の制作理論や創作方法論が中心であって、単なる作品の評論ではない。しかし類書である『三冊子』の論理的な記述にくらべて、『去来抄』の方は物語的・逸話的で、読み物としても興味深い内容である。特に、「先師評」は、先師(芭蕉)が自分自身や門人の作品に加えた批評が中心で、句作の機微にふれた興味深い話が多い。従って、この「先師評」の中から注目すべき項目を選び講述する。
授業計画: 1 去来及び『去来抄』の解説
2 凡兆の「大歳を」の句に関する項
3 去来の「散銭も」の句に関する項
4 越人の「月雪や」の句に関する項
5 其角の「切られたる」の句に関する項
6 去来の「をとといは」の句に関する項
7 芭蕉の「病雁の」及び「海士の家は」の句に関する項
8 去来の「岩鼻や」の句に関する項
9 丈草の「うづくまる」の句に関する項
10 凡兆の「下京や」の句に関する項
評価方法: 試験期間中に筆記試験(100点満点)を実施する。
教科書: 中村俊定・山下登喜子『去来抄』笠間書院
参考書: 必要に応じて資料を配布する