グリム童話の中の女性たち 野口 芳子
授業目標:  西洋のメルヒェンを学びながら、その中に現れる女性の生と性、男性の生と性を観察することによって、西洋文化を別の視点から見る目が養える。それによって日本女性である自分の生と性を、より正確に偏見なく把握できるようになれば、というのが担当者の願いである。
科目内容:  幼い頃メルヒェンを読み、夢のように美しい城で王女と王子が結ばれるシーンに胸躍らせた人は多い。いつかは白馬の王子が現れると待ち続ける女性は、メルヒェンという幻想世界の中に生きているといえる。ここではグリム童話を詳しく見ていくことによって、メルヒェンの世界の幻想について深く考察していく。その際特に、王女や王子、女中や家来、百姓娘や仕立屋、魔女や怪物など様々な男性や女性の姿に焦点を当てながら、人間の生き方、女性の生き方について考えていく。
授業計画: 1 メルヒェンという概念について
 創作童話と伝承童話という二つの概念と、曖昧なメルヒェンという言葉について説明する。
2 メルヒェン−西洋と日本を比較して−
 西洋のメルヒェンに当るものは日本では昔ばなし。だが、西洋のメルヒェンはハッピーエンドで終わるのに、日本の昔話は悲しい別れで終わるものが多い。何故だろう?
3 グリム兄弟とメルヒェン街道
 グリム兄弟の生涯・業績などについて、メルヒェン街道のスライドを見せながら解説する
4 白雪姫の王女と王子
 白雪姫が幸せになるには過酷な試練が待っている。王子は理想のタイプの男性だろうか。
5 白雪姫−グリムの手書き原稿と決定版の相違−
 継母ではなく、本当は実母の話? 父親が娘に恋をした話? 本当に悪いのは一体誰?
6 いばらひめ(眠れる森の美女)の類話を巡って
 王子のキスで目覚め、結婚でハッピーエンドとなるのはグリムの話だけ。もっと古いフランスの話では、姫は王子の姑にいびられる。一番古いイタリアの物語では、既婚の王の不倫の話。
7 赤ずきんの狼は人狼か?
 赤ずきんは狼に貞操を奪われた少女の話だという。西洋中世で処女性を失った少女の運命は?
8 灰かぶり(シンデレラ)−グリムとディズニーの比較
 受動的なディズニーのシンデレラと違って、グリムのシンデレラはしたたかで運動神経抜群。
9 ヘンゼルとグレーテル−グリムの原文と日本の絵本の相違−
 飢餓に苦しむ生活を描いたメルヒェンは、日本の絵本で「おかしのおうち」と夢の世界に変身。
10 メルヒェンの魔女
 メルヒェンの魔女は悪者で醜い老婆と相場が決まっている。現実の魔女裁判で処刑された魔女には若く美しい女も多数いた。メルヒェンの魔女と魔女裁判の魔女との関係とは?
11 グリム童話の女性たちについてまとめ−男性と比較して−
 グリム童話の中で幸せになるのはどのような女性? どのような男性? 男女を比較しながらそれぞれの理想像を追求する。
評価方法: 期末試験(論述問題)に平常点(出席点、発表点、レポート点など)を加味して行う。その他自主的なレポートも受理し、成績評価にプラスする。
教科書: 野口芳子著『グリムのメルヒェン−その夢と現実−』勁草書房
参考書: 池田香代子訳『完訳クラシック グリム童話1〜5』講談社
留意事項: 毎回、授業でプリントの配布をするので、欠席者は必ず前回のプリントを担当者のところに取りにくるか、出席者のものをコピーするかして、プリントを確保し、目を通しておくこと。