中世文学講読A・B 加賀 元子
授業目標:  日本中世文学の代表的作品である『平家物語』から、比較的知られた章段を取り上げて詳細に読み、本作品の全体像を把握することを目標とする。
科目内容:  栄華を誇った平氏一門の滅亡は人々の心に強烈に焼き付き、後代の日本人の思想に深い影響を与えた。しかし、こうした平家一門の栄枯盛衰を描く『平家物語』を全編通読することは容易ではない。そこで『平家物語』諸本中から覚一本を底本として、その中から主要な事件を核として読み進めたい。とはいえ、単に物語の筋を追うのではなく、物語の背景にある様々な逸話や史的事情も考証する。また、登場人物の設定のあり方など、文学としての完成度なども吟味しながら味読する。
授業計画: A 1   『平家物語』とその時代
  2   無常の音(巻第一「祇園精舎」)
  3   横暴なる清盛(巻第一「祇王」)
  4   平氏への反感(巻第一「鹿谷」)
  5   俊寛の悲劇(巻第二「足摺」)
  6   烽火、ふたたび(巻第四「橋合戦」)
  7   南都焼亡(巻第五(奈良炎上」)
  8   滅亡への序曲(巻第七「忠度都落」)
  9・10 東の国の「つはもの」たち(巻第九「生ズキノ沙汰」、「宇治川先陣」)
  11・12 落暉に死す(巻第九「木曾最期」)

B 1   『平家物語』の諸本と成立事情
  2   一谷合戦(巻第九「坂落」)
  3   坂東武者の発心(巻第九「敦盛最期」)
  4〜6 仏敵、平重衡と千手前(巻第九「海道下」「千手前」)
  7   春の海に散る扇(巻第十一「那須与一」)
  8・9 壇ノ浦にて(巻第十一「先帝身投」「能登殿最期」)
  10〜12 建礼門院の往生(灌頂巻「女院出家」「大原御幸」「女院死去」)
評価方法: 試験期間中に筆記試験(100点満点)を実施する。
再・追試試験はレポート提出とする。
教科書: 担当者作成のプリント使用。
参考書: 別途指示。