日本文学特講TA・TB 加賀 元子
授業目標:  古典の主要説話集に収められた説話の検討を通じて、説話生成の姿や、説話を「集」としてまとめようとする編纂意識、説話の利用のされ方といった問題点を解明する。
科目内容:  説話はどういう過程を経て説話として成り立つのか、なぜ先人は説話の「集」を編んだのか、あるいは、説話は人間の文化生活にどう関与してきたのか、という問題意識を持ち、なるべく多くの説話を読んでいく。各説話集が生まれた歴史的、文学史的背景も視野に入れて、その説話集の特色もつかんでいきたい。
授業計画:
1 説話のいろいろ−『古今著聞集』をとおして−(@〜D)
 (1) 「神祇」、「釈教」(神々と仏菩薩の説話)
 (2) 「政道忠臣」(政治と政治家に関する説話)
 (3) 「和歌」、「管絃歌舞」(和歌と芸能に関する説話)
 (4) 「孝行恩愛」、「好色」(世俗の説話)
 (5) 「怪異」「変化」「草木」「魚虫禽獣」(鬼霊・妖怪と植物・動物の説話)

2 説話集のいろいろ(E)
  −仏教説話集と世俗説話、その他−

3 説話集編者の意識−説話の序文とその構成から−(F〜K)
 (1) 『今昔物語集』から
 (2) 『宇治拾遺物語』から
 (3) 『発心集』『閑居友』から
 (4) 『十訓抄』から
 (5) 『沙石集』から



1 説話の生成(@〜E)
 (1) 歌語りから歌物語へ(『大和物語』から)
 (2) 風聞から説話へ(『今昔物語集』と記録類から)
 (3) 説話を運ぶ人(『無名抄』と『実暁記』から)
 (4) 日記に記された説話(『看聞御記』と『多聞院日記』から)

2 説話の利用(F〜K)
 (1) 説話と和歌(『蒙求和歌』の場合)
 (2) 説話と歌謡(『法隆寺縁起白拍子』の場合)
 (3) 歌学書類(『和歌色葉』などから)
評価方法: 試験期間中に筆記試験(100点満点)を実施する。
再・追試試験はレポート提出とする。
教科書: 担当者作成のプリント使用。
参考書: 別途指示。