微生物利用学 |
授業目標: | 食品は植物性食品と動物性食品に分類されるが、微生物性食品も重要である。微生物性食品とは伝統的な発酵食品のことを指すが、今日ではこの食品に秘められた生理学的機能性をもつことが種々発見されている。微生物のもつ特性と機能そして食生活のなかでの応用を学ぶ。 |
科目内容: | 微生物はその名の示す通り、肉眼では見えない小さな生物であるが、人々の生活と密接に関係している。味噌、しょう油、酢、漬物、納豆、かつお節、パン、甘酒、チーズ、バター、ヨーグルト、清酒、ビール、ワイン、ウイスキーなどの発酵食品をはじめ、その他アミノ酸や核酸の調味料、抗生物質、ビタミン、ホルモンなどの医薬品の生産から、環境浄化、微生物タンパクや微生物油脂などバイオマス(生物資源)の利用などの内容である。 |
授業計画: | 1 微生物の種類とその特性 ヨーグルトと乳酸菌、パンと酵母、味噌・醤油とカビのように発酵食品を中心とするが、ウイルス、バイオ時代の花形である遺伝子の運び屋のファージ(微生物のウイルス)も含む。 2 発酵食品の生産 清酒・ビール・ワイン・ウイスキーなどのアルコール飲料をはじめ、味噌・醤油・酢・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品の他、パン・漬物・納豆・かつお節・甘酒の生産。 3 アミノ酸の生産 調味料のグルタミン酸は、「だし昆布」の味として日本で発見され工業生産されている。生長に不可欠のリジンをはじめ、必須アミノ酸を中心に微生物による生産方法。 4 うま味のある核酸関連物質の生産 かつお節のうま味、シイタケなどのキノコのうま味工業生産。 5 抗生物質の生産 戦後のペニシリンの発見は、「世紀の霊薬」と言われ、抗生物質という名称のもとに微生物の偉大な力が人類の救いに発展することになった。抗生物質の約80%以上は、土の微生物と言われている放線菌によって生産されている。 6 生理活性物質の生産 主として水溶性ビタミン、インシュリンや植物生長ホルモンのジベレリン、その他体調節作用をもつオリゴ糖や魚に多く含まれる高度不飽和脂肪酸など。 7 微生物タンパクや微生物油脂の生産 微生物タンパク(SCP)の生産は、農産物とは競合しない安価な糖蜜や炭化水素(石油)などを原料にしている。また、微生物には菌体中に良質の油脂を生産する。 8 微生物の特殊な利用 メタンガスなどのエネルギー生産、微生物を含む活性汚泥による廃水処理、特定の金属の抽出など。 9 ニューバイオテクノロジーの技術 伝統的な発酵食品の生産や突然変異株を用いるアミノ酸の生産などのオールドバイオテクノロジーに対して、遺伝子組み替え・細胞融合・遺伝子増幅のニューバイオテクノロジーの技術と生産への応用。 10 病気と微生物 伝染病流行の実態、病原菌の種類と性質、病原性の本体、免疫と治療。 |
評価方法: | 平常点(40点)と毎回の授業中での小筆記試験(60点)により判定する。 |
教科書: | 木村光編『食品微生物学』培風館 |
留意事項: | 当該科目は、「食品衛生管理者」・「食品衛生監視員」の任用資格取得に、履修しておくことが望ましい。 |