生薬学 山内 和子
授業目標:  医療の世界では生薬が漢方処方や生薬製剤としてまた重要医薬品の抽出原料として多く用いられているが、この生薬についての情報は専ら薬剤師に求められている。この要望に十分答えられるように生薬に関する知識を修得する。
科目内容:  古代から疾病の治療に植物、動物、鉱物が、広く利用されてきた。これら動植物の薬用部分、細胞内容物、分泌物、抽出物または鉱物などを乾燥し、又は簡単な加工をしたものが生薬であり、特に植物は医薬品の製造原料として現代でも極めて有用である。生薬学は以上のような自然物に由来する医薬品である生薬を対象とする科学の一分野である。現在常用される生薬の大多数は日本薬局方(日局)に収載されているので、本講では日本薬局方に準拠して講義を行う。
授業計画: 1 生薬総則
 日局の生薬の定義、生薬の形態分類、取扱及び保存法、生薬特有の規定などについて解説する。
2 生薬の利用
 (1) 医薬品としての利用
 医師または歯科医師によって使用される医療用と一般大衆が使用する一般用の区別があること、またガレヌス製剤、漢方製剤、家庭薬製剤、民間薬などの種別について、歴史的背景をもとにして解説し、更に医薬品製造原料としての効用についても言及する。
 (2) 医薬品以外の利用
 香辛料、后ソ、染料としての用途などにも簡単に触れる。
3 生薬試験法(日局一般試験法)
 生薬総則に規定する生薬に適用する共通の試験法であるが、試料の採取と分析用試料の調製並びに異物、乾燥減量、灰分、酸不溶性灰分、エキス含量、精油含量、鏡検などの試験法について解説する。
4 個々の生薬に関する日局の規定と試験法、並びに全般的な解説
 (1) 各条の内容と記載の順序
 名称、基原、含有成分の規格値、性状、確認試験、示性値、純度試験、定量法などについて一般的な解説を行う。
 (2) 個々の生薬の全般的な解説
 生薬を次の通り薬効別に分類し、それらについて日局の規定及び試験法、由来、原動植物、産地、生産、成分、作用、応用等について詳述する。
 薬効別分類
解表薬、副交感神経遮断薬、鎮痙薬、強心薬、芳香性健胃薬、理気薬、苦味性健胃薬、清熱薬、辛味性健胃薬、温裏去寒薬、瀉下薬、止瀉薬、鎮咳去痰薬、鎮吐薬、利尿薬、理血薬、通経薬、補養薬、固渋薬、鎮静薬、駆虫薬、外皮用薬、防腐薬、動物性生薬、矯味矯臭薬、口腔清涼薬、製剤用基剤、その他
評価方法: 期間中に筆記試験(100点満点)を実施する。
教科書: 北川勲、三川潮、庄司順三、滝戸道夫、友田正司、西岡五夫『生薬学』廣川書店
参考書: 日本公定書協会監修『第十三改正日本薬局方解説書』廣川書店