中枢神経薬理学 |
授業目標: | 薬物の体に及ぼす作用をうまく利用すれば疾病を治癒または改善できる。その理由は、薬物が生体の機能発現において重要な部位、すなわち受容体、酵素、トランスポーター、イオンチャンネルに結合し、その部位を促進したり抑制したりすることができるからである。これらの理解は解剖生理学の基礎的知識があれば容易である。 |
科目内容: | 血液−脳関門を通過し中枢神経系(脳髄と脊髄)の機能に影響を及ぼす薬物のうち、疾患の治療に応用されるものを中枢神経系作用薬とよんでいる。中枢神経系は様々な神経伝達物質を放出する多数の神経細胞の集合体であり、その統括の機構は巧妙、複雑であるので、薬物の薬理作用や作用機序は単純でないことが多い。しかし、基本的には末梢神経薬理学で学んだ神経細胞間のシナプス部位(薬物受容体および神経終末)に影響する薬物と同様に考えてよい。本科目では、治療目的に基づいて分類される中枢神経系作用薬の薬理作用、作用機序、副作用などが講述される。 |
授業計画: | 1 神経伝達物質と受容体、細胞内情報伝達系 2 中枢神経系の解剖生理:中枢神経作用薬との関連 3 全身麻酔薬:麻酔の経過、一般的作用機序、麻酔前投薬 4 催眠薬および鎮静薬:睡眠と不眠症、催眠薬とアルコール 5 抗てんかん薬:てんかん、発作型による分類 6 鎮痛薬 (1) 麻薬性鎮痛薬:痛覚とその伝導路、モルヒネ系鎮痛薬 (2) 解熱性鎮痛薬:発熱と解熱、非ステロイド系抗炎症薬 7 向精神薬 (1) 抗不安薬 (2) 抗精神病薬 (3) 抗うつ薬 (4) 幻覚発現薬 8 中枢性筋弛緩薬 9 パーキンソン症候群治療薬:錐体外路系障害 10 中枢興奮薬 11 鎮うん薬 12 脳循環改善薬、脳代謝賦活薬 |
評価方法: | 試験期間中に筆記試験(100点満点)を実施する。 |
教科書: | 重信弘毅・長友孝文編『最新薬理学 第5改稿版』廣川書店 |
留意事項: | 解剖生理学、病態生理学、病理学、生化学、有機化学などの基礎知識があれば、誰にでも容易に理解できる科目である。 |