医療薬学実習U 国友  勝  中村 一基
授業目標:  薬理学の講義で学習した薬物に関する知識を動物実験を通して確かめ、薬物の薬理作用および作用機序の理解をさらに深めるのが本実習の目的である。
科目内容:  動物実験の方法には大きく分けて、動物に薬物を投与して生体の反応を観察する方法(in vivo)と摘出臓器を用いる方法(in vitro)がある。いずれにおいても避けがたいのが生体反応のバラツキである。それゆえバラツキのあるデータの中から推計学的に一定の結論を導き出す薬理学的考え方を身に付けることも大切な課題である。
 本実習を開始するにあたって、まず、動物実験の倫理および一般注意事項、基本的実験手技について述べる。ついで、中枢神経系に作用する典型的な薬物を動物に投与し、そのときの症状を観察・記録するとともに拮抗薬の投与による変化から作用機序を理解する。さらに、摘出臓器に末梢神経作用薬を適用し、生じる反応を定性的ないし定量的に評価し、薬理作用の総合的な考え方を習得する。
授業計画: 1 実習講義
2 中枢神経系に作用する薬物(in vivo)
 (1) 中枢神経抑制薬
  エーテル、クロルプロマジン、ペントバルビタールナトリウム、ハロペリドール
 (2) 学習・記憶障害改善薬(抗痴呆薬)
  スコポラミン、フィゾスチグミン
 (3) 体温に影響する薬物
  クロルプロマジン
 (4) 中枢神経興奮薬(自発運動亢進)
  カフェイン、ジアゼパム(抑制薬)
3 自律神経に作用する薬物(in vitro)
 (1) 腸管に作用する薬物(拮抗、用量−作用曲線、競合的拮抗)
  アセチルコリン、エピネフリン、フィゾスチグミン、アトロピン、パパベリン、ニコチン
  ヘキサメトニウム、ヒスタミン、ジフェンヒドラミン、ピロカルピン
 (2) 血管に作用する薬物
  ノルエピネフリン、アセチルコリン、ニトロアルギニン、プロプラノロール、プラゾシン
 (3) その他の平滑筋(胃、輸精管、気管支など)および心房に作用する薬物
  アセチルコリン、イソプレナリン
4 筋弛緩薬(in vivo)
  スキサメトニウム(末梢性)、ジアゼパム(中枢性)
5 コンピューターを用いた実験データの処理
評価方法: 平常点(20点)とレポート(8回、80点)とで評価する。
教科書: 薬理学T研究室編プリント