ノンバーバルコミュニケーション 太田 耕平
授業目標:  ノンバーバル・コミュニケーションの基本的な機能と、それが対人関係の発展に果たす役割について学習し、良い対人関係を築くために必要な基礎的な知識、技能を習得する。
科目内容:  ノンバーバル・コミュニケーションとは、動作、表情、対人距離など、言語以外の手段により行われるコミュニケーションである。本講義では、社会心理学、臨床心理学、発達心理学の観点から、このようなコミュニケーションの基本的機能について解説し、このような機能が、対人関係の発展・崩壊、対人不安などの理論からみて、どのような意味があるかについて考察する。また、このような考察から、どのようにすれば、良い対人関係を築くことができるかを考える。
授業計画: 1 乳幼児と養育者のノンバーバル・コミュニケーション
 乳幼児は言語を習得する以前から、養育者とコミュニケーションを行っている。このようなコミュニケーションの特性について解説し、コミュニケーションの起源と意義について考察する。
2 対人関係の発展におけるノンバーバル・コミュニケーションの役割
 対人関係の発展に関する理論について解説し、このような視点からノンバーバル・コミュニケーションが対人関係の発展に果たす役割について検討する。
3 社会的スキルとしてのノンバーバル行動
 良い対人関係を築くために必要な技能は、社会的スキルと呼ばれる。ここでは、社会的スキルとしてのノンバーバル行動の役割について解説し、どのようなノンバーバル行動によって、他者に心理的な報酬が与えられ、良い関係が築かれるかを考察する。
4 親密な対人関係におけるノンバーバル・コミュニケーション
 好意の感情がどのようにして生じるか、また、それがノンバーバル行動によってどのように表現されるかについて解説し、親密な対人関係にみられるコミュニケーションの特性について考察する。
5 恋愛関係と友人関係の違い
 対人関係の発展の理論から見た場合、恋愛関係が、同性間の親密な対人関係とどのような点で異なるかについて解説する。また、そのような相違点を基に、恋愛関係における心の問題が生じる仕組みについても解説する。
6 コミュニケーションの障害と心の病
 対人不安や抑うつ感情などの心の問題は、良い人間関係を築くために必要なノンバーバル行動の使用を妨げる。ここでは、このような心の問題が生じる仕組みとその対処法に関する心理学的理論について解説する。
評価方法: 定期試験の成績により評価
参考書: 大坊郁夫『しぐさのコミュニケーション』サイエンス社
マジョリー・F・ヴィーガス『非言語的コミュニケーション』新潮選書