高齢者環境論 梁瀬 度子
授業目標:  我が国の高齢化の現状とその特徴を把握し、高齢者の環境への適応能力を理解するとともに、高齢社会における福祉環境づくりのあり方を考える能力を養う。
科目内容:  わが国の高齢者問題の現状及び高齢者対策に関する施策について論じ、諸外国との比較を交えながらその特徴を把握し、21世紀における高齢社会のあり方について考究する。次いで、高齢者の加齢に伴う身体機能の変化の諸特性を生理学的、動作学的側面から論じ、これらの特性を踏まえた上で、バリアフリーの原則に基づいた高齢者のための安全で快適な居住環境のありかたについて展開する。
授業計画: 1 世界の老人問題及び、我が国の老人問題の現状とその特徴について(各国との比較を含む)
2 高齢者の身体的特徴及び諸機能の変化
  (1) 形態的変化、運動機能の変化の特徴について
3 (2) 生理的機能、心理的機能の変化について
4 高齢者の日常生活における行動特性及び環境への適応の困難性を、上記の身体的・精神的特性との関わりから検討
  (1) 生理的生活にみられる特徴(睡眠時間、排尿回数など)
5 (2) 環境への適応性の低下による特徴(階段、横断歩道、家庭内における事故など)
  (3) 防寒・防暑行動に見られる特徴(重ね着、室温調節行動など)
6 高齢者の行動特性を踏まえた上での、住環境整備のポイントについて
  (1) 自立優先、安全第一の立場から
7 (2) ADLの低下に対する側面的援助(サービスケア、バリアフリー設計など)のあり方について
8 わが国の高齢者対策に関する政府の施策について
  (1) 新ゴールドプランにみられる基本政策
9 (2) 高齢者に対する住宅施策
10 (3) 介護保険制度
11 諸外国における高齢者環境
  (1) スウェーデン、アメリカ、イギリス、デンマークにおける現状について
12 21世紀の高齢者問題−これからの高齢者対策のあり方
評価方法: 期末試験(80点)に授業中に行う小テスト及び授業の出席状況などの平常点(20点)により総合評価を行う。
教科書: 使用しない。必要に応じてプリントを配布する。
参考書: 梁瀬度子他『住環境科学』朝倉書店、総務庁編『高齢社会白書』平成12年度版、日本建築学会編『高齢者のための建築設備』彰国社