工芸染色実習 北川 全應
授業目標:  工芸染色技法を指導するほか、つまるところ人生をゆたかにする術をも学んでもらう。
科目内容:  古代から作られてきた衣服やテキスタイルなどの染織品は、その時代時代のファッションを反映した、現代におよぶ貴重な文化の歩みである。また、その文様・意匠を形作る色とデザインは、染色加工技術とデザイン感覚の結晶でもある。
 本講義は、実験を通じて歴史的な歩みを化学の目で辿りながら、工芸染色に対する造詣を深めようとするものである。
授業計画: 1 工芸染色について。ジャワ更紗の地位と技法の変遷(1回)
2 絞り文様藍染(2回)
 (インド藍の酸化発色)
3 型防染(2回)
 (型紙を使って防染糊を置き、反応染料で地染)
4 薬剤防染−1(3回)
 (蝋防染の基本を使って自由柄を作製する)
5 薬剤防染−2(3〜4回)
 (蝋防染手法によるローケツ染め・ジャワ更紗の製作)
6 工芸染色の系譜と分類等のまとめ(1回)
  我国模様染表現
 (1) 3〜4世紀(古墳文化前期)から10〜11世紀(平安時代)
   纐纈(コウケチ)夾纈(キョウケチ)臈纈(ロウケチ)
 (2) 9〜14世紀(平安、鎌倉、南北朝時代)
   織(オリ)と無地染め
 (3) 15世紀(室町時代)以降
   応仁の乱
   古代纐纈(絞り)染、描き絵染め、「辻が花染」と防染糊
   (鎌倉期、中国から渡来した印花麺の改良品)
 (4) 絞り染、型防染、薬剤防染(蝋と防染糊)等全て防染技術の応用
 (5) 以上の工芸染色技術に加えて、19〜20世紀は近代化学製品による「防抜染剤」も駆使する多量生産時代を迎えたのである。
評価方法: 成績評価は、授業計画5の作品(85点)に出欠(15点)を加味して合計100点満点とする。
教科書: 授業計画2〜6の夫々に工芸染色技術資料を配布する。
参考書: 木村光雄『自然の色と染め』木魂社、青柳太陽『模様染の伝統技法』理工学社
留意事項: 1 使用染料、薬品外の使用生地(各自作品持ち帰り)等の材料費は学生負担とする(概算2千円迄)。
2 エプロン、実験衣等各自用意のこと。
3 定刻開始するので、5分前集合厳守のこと。