英語の成り立ちA・B | 松原 良治 |
授業目標 | まず通時的視点に立って、時代背景を考慮に入れながら古英語から中英語、近代英語への変化と各時代の英語の特質を考察し、併せていかにして英語が世界の共通語的言語に発達してきたかを理解することを目指す。次いで共時的視点から英語の音韻、形態、統語、意味などについて考察し、現代英語の実相を理解することを目標とする。 |
科目内容 | 「英語入門」で学んだ音韻・形態・統語・意味・語用の各方面についての英語の基本的仕組みを復習し、より深く調べるとともに、通時的観点から英語の仕組みの変遷、すなわち、古英語、中英語、近代英語の諸特徴とその変化を、各時代背景を顧みながら捉えることを目指す。さらに、地域と社会階層による方言差、世界共通語となりつつある英語の多様な姿についても学ぶ。 |
授業計画 |
A 1 世界の語族と印欧語族 2 印欧語族と英語の祖語 3 古英語以前のイギリスの言語−ケルト語、ラテン語の影響 4 古英語成立の背景とその特徴−アングロ族・サクソン族・ジュート族、古英語の発音・形態・屈折・統語、文法的性、英語史の時代区分、古英語の原典を読む。 5 中英語成立の背景とその特徴−ノルマン人のイギリス征服、屈折の減少、英語語彙の特徴、G.チョーサーと彼の時代背景、標準英語の成立、中英語の原典を読む。 6 近代英語成立の背景とその特徴−印刷術の導入と近代英語、W.シェイクスピアの英語、欽定英訳聖書、近代英語の原典を読む。 7 発音と綴り字の変化 8 語形と統語法の変化−名詞、代名詞、冠詞、形容詞、動詞(動詞の人称変化、時制表現の発達、準動詞の発達、仮定法、非人称表現などについて)、前置詞の変化について 9 否定文と疑問文 10 まとめ B 1 共時的研究と通時的研究 2 英語学の関連諸分野−心理言語学、社会言語学、数理言語学、対照言語学、人類言語学などについて 3 音声と音韻−音声学、音素論(音素と超文節音素)、生成音韻論 4 形態論−形態素、自由形態素と拘束形態素、基体と語幹、語形成 5 統語論−記述文法と生成変形文法、節の種類、補文、変形規則と文の生成など 6 意味論・語用論−語の意味、句の意味、節の意味解釈、意味変化について 7 文体論−文体と意味、修辞学と文体、文体論の歴史的変遷 8 語用論−言語の働き、発話行為、談話と談話文法、スキーマ理論などについて 9 まとめ |
評価方法 | レポートと定期試験および平生の授業への積極的参加を勘案して評価する。 |
教 科 書 | 安藤貞雄・小野捷著『英語学概論』英潮社 |
参 考 書 | 授業中、適宜指示する。 |
留意事項 | 英語学や言語学は様々な専門用語や概念があるので、それらを具体的用例と共に1つ1つ理解し積み重ねて行くことが大切である。学生諸君の積極的な授業参加を期待する。 |