染色・加工の化学 甫天 正靖
授業目標  製品の価値を決定する重要なプロセスにあたる「染色・仕上加工」の基礎的な知識(Textile Chemistry<テキスタイル化学>)を学び、消費者として大切な繊維製品の品質との係わりが理解できるように見識を広める。
科目内容  繊維製品がつくられる過程において「染色・仕上加工」は製品の価値を決定する重要なプロセスにあたるが、近年多くのものが海外生産され、ものづくりは遠くなるばかりである。しかし、衣服やインテリア繊維製品は日常生活には欠かせないものであり、ひとりの消費者として、将来繊維製品に係わる職業人を目指す者にとって、それらの品質に対する知識と理解力、さらに品質問題に対する予知能力は強力な武器になる。そのためには製品の価値を決めるテキスタイル加工(染色・仕上)の基礎から加工現場にわたる知識を習得することが望まれるが、生産企業は海外移転して実学習の機会は遠のき、実際に即したテキスタイル化学の教育現場も時を経て空洞化してきた。本講では、その要素として繊維や染料、助剤などの化学およびそれらの染色加工への応用について学び、染色加工された繊維製品の品質問題(含安全対策)についても理解を深める。
授業計画     〈 〉内数字: 講義回数
1 染色とは                  〈4〉
 (1) 染色・染色加工の目的と用語の定義
 (2) 種々の繊維製品はどのようにして染めるのか (染色工程のこと)
 織物、編物、くつ下/手袋等、手編糸、毛布、カーペット、パイル製品など製品工程における染色原綿は、糸は、反物(織物、ニット)はどのようにしてそめるのか?
 捺染(プリント)と浸染
 (3) 染色加工製品の消費性能
   繊維製品の性能試験と品質表示/染色堅牢度試験(ISO、JIS)
 (4) 天然染料による伝統工芸染色
2 染色の基礎                 〈6〉
 (1) 染色からみた繊維素材の性質
 もめん、麻などのセルロース繊維/羊毛、絹(たんぱく質繊維)/ビスコースなどの化学繊維/アセテートなどの半合成繊維
 ナイロン、アクリル、ポリエステルなどの合成繊維/そのほか、すぐれものの機能性繊維について
 (2) 染色に用いられる色材(染顔料類)
   いろいろな染料の化学/どの染料でどの繊維を染めるのか
   なぜ、どうして、染まるのか? (染着の理論と染色機構)
   今日ハイテクに活用される機能性色素
 (3) 種々の仕上げ加工
   付加価値付与の加工とその加工剤の化学/染・薬剤の公害問題
3 化学史からみた染色化学/繊維化学の話題   〈2〉
  天然染料と合成染料:アニリンの出現と合成染料の誕生/天然染料(茜、藍を駆逐した合成アリザリンとインジゴ)
  色素の主流アゾ染料:ジアゾ化反応の発見とアゾ染料の発明
  染色に技術革新をもたらした反応染料/インクジェットプリンターでのFMS捺染システム
評価方法 定期試験による。(100点満点)。
教 科 書 甫天正靖概説『染色加工学』改訂版 大和出版印刷
留意事項 化学を志す学生(大薬、大食、大環)で各学科の基礎科学の授業を経て履修することが望ましい。短生TAコース生は2年前期が適当。大環TA課程学生(1級、2級を問わず)には基礎学習となるだろう。

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