文学実地研究A・B 柴田 清継
授業目標  平安時代における東アジアの文化交流の一端を垣間見る。
科目内容  一般にはあまり知られていないが、8世紀初めから10世紀初めまで、現在の中国の東北部から朝鮮半島の北部にかけての地域に「渤海」という国があった。渤海は建国当初から180年の間にわたって34回も日本に使者を派遣し、日本も13回使者を派遣した。この国は中国文化を吸収した国であったから、訪日時の種々の外交行事の折々に、使者と日本側の文化人との間で漢詩が応酬された。それらの漢詩のうち、現在まで伝わっているものを読んでいく。
授業計画 前期
1 概説
2 空海「傷渤海国大使王孝廉中途物故」
2 楊泰師「奉和紀朝臣公詠雪詩」
4 王孝廉「奉勅陪内宴」
5 釈仁貞「七日禁中陪宴」
6 釈貞素「哭日本国内供奉大徳霊仙和尚詩」
7 嵯峨天皇「早春観打毬」
8 阪上今継「和渤海大使見寄之作」
9 大伴氏上「渤海入朝」
10 都腹赤「和渤海入覲副使公賜対竜顔之作」
11 滋野貞主「春夜宿鴻臚館簡渤海入朝王大使」
12 巨勢識人「春日餞野柱史奉使存問渤海客」
後期
1 坂上今雄「秋朝聴雁寄渤海入朝高判官釈録事」
2 安倍吉人「聞渤海客礼仏感而賦之」
3 島田渚田「和安領客感賦渤海客礼仏之作」
4 都良香「代渤海客上右親衛源中郎将」
5 島田忠臣「継和渤海裴大使見酬菅侍郎・紀典客行字」
6 菅原道真「去春詠渤海大使与賀州善司馬贈答之数篇今朝重吟和典客国子紀十二丞見寄之長句感而玩之聊依本韻」
7 同 「重依行字和裴大使被酬之什」
8 同 「過大使房賦雨後熱」
9 同 「夏夜対渤海客因賦月華臨静夜詩」
10 菅原淳茂「初逢渤海裴大使有感吟」
11 大江朝綱「渤海裴大使到越州後見寄長句欣感之至押以本韻」
12 藤原雅量「遼東丹裴大使公去春述懐見寄于余勘問之間遂無和之此夏綴言志之詩披与得意之人不耐握玩偸押本韻」
評価方法 平常点(40点)とレポート(60点)
教 科 書 プリント
留意事項 渤海使節との唱和詩を最も多く残している菅原道真にゆかりのある北野天満宮などを探訪する予定。

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