現代作曲家の肖像 宇野 文夫
授業目標  我々と同じ時代を生きる作曲家とその作品に触れ、芸術、美、時代、社会、人間について深く考察し、同時代芸術への感受性を養う。
科目内容  モーツァルトやベートーヴェンが十八〜九世紀のドイツ・オーストリアで活躍していたように、現在も多くの作曲家が音楽創作という課題に取り組み、日々作品を生み出している。同時代に生きていながら一般の人々はそれらの作品に触れる機会が極めて少ない。現代の作曲家がどのような問題意識を持って創作に取り組み、どのような作品を生み出しているのか、一人一人の作曲家をクローズアップして取り上げる。特に我が国の作曲家について多く時間を割き、その中で世界の創作音楽の動向にも触れる。尚、対象は芸術音楽に限定し、ポピュラー音楽は取り上げない。
授業計画 1 松平頼則(−よりつね)明治40(1907)年〜
  日本の伝統文化のエッセンスと西洋前衛音楽技法の結合。雅楽や「源氏物語」との関わり。
2 ピエール・ブレーズ 1925年〜 (フランス)
  現代作曲界、指揮界の世界的巨匠の活動を辿る。
3 黛敏郎 昭和4(1929)年〜平成9(1997)年
  黛とその世代が、世界の新しい音楽潮流に如何に出会い、対決したのか。
4 武満徹 昭和5(1930)年〜平成8(1996)年
  世界的に最も知られた日本人作曲家の独自の世界。
5 歌曲への試み
  歌曲というジャンルへの現代の様々な取り組み。山田耕作、中田喜直等。
6 民族的表現への試み
  日本に於ける土俗主義や新古典主義的作曲について。伊福部昭(いふくべあきら)、芥川也寸志等。
7 日本の保守と前衛(1)
  保守アカデミズムについて。諸井三郎、池内友次郎、矢城秋雄等。
8 日本の保守と前衛(2)
  日本の前衛音楽について。柴田南雄、入野義郎、湯浅譲二、松平頼暁等。
9 新しい世代の様々な作品を巡って
  近藤譲−世界的視野に立った新しい音楽観と作品。
  佐藤聡明−最先端の様式と東洋的指向とが合致したその世界。
評価方法 講義内での数回の小テスト(50点)と鑑賞した音楽の感想を提出したもの数回(50点)による。自由提出のレポートも受け付ける。
教 科 書 適宜プリントを配付する。
参 考 書 適宜紹介する。
留意事項 受講者には予めの専門知識は必要なし。

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