嗅覚の科学  −香りの世界− 藤田 眞一
授業目標  日常の生活における嗅覚(臭覚)意識の向上を願う。
科目内容  人間には視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五つの感覚がそなわっており、これらの五感覚が単独に、また、いくつかが同時に働いて物事をとらえ、知識として脳に記憶される。これらの情報量の90%が視覚からといわれている。視覚の次に多いのは聴覚によるものだから、残りの感覚による情報量はさらに小さくなる。このように嗅覚の持つ役割は忘れがちな感覚なのである。
 元来、視覚型の人間でも太古から嗅覚型の動物を捕まえるとき、風下から接近することや、食物の適不適の判定も、そのにおいをかぐことにより中毒から身を守ることなど、多くの基本的な生命維持行動に嗅覚を最大限に利用してきた。しかし、文明の発祥にともない嗅覚は宗教的儀式と深い関係ができ、だんだん、においを「香り」すなわち文化として受け止めるようになってきた。
 本講義では、少しでも嗅覚意識の向上を願う意味で、嗅覚に関する幅広い話題を提供する。
授業計画 1 嗅覚とはどのような感覚か。日常の生活におけるにおいの氾濫。感覚としての嗅覚の特性。
2 人体に対するにおいの影響。人間の鼻の構造と仕組み。
3 動物のにおいに対する行動。昆虫のフェロモンについて。昆虫と食草との関係。
4 においの分類と体系化。
5 香料とは何か。香料の種類と分類。香料の歴史。
6 香りの分類。香水とオーデコロンの違い。
7 スパイスおよびハーブとは何か。スパイスの種類と歴史。
8 フィトンチッド、森林浴とは何か。
9 香りの世界、嗅覚意識の向上を願う。
評価方法 試験期間中に筆記試験(100点満点)を実施する。

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