古典文学講読A・B | 光井 文華 |
授業目標 | 芭蕉・近松とともに元禄文学を代表する「西鶴」の作品の中から、「恋」を描いた短編を読み味わう。「好色物」を中心とするそれらの作品の味読を通して、当時の風俗や庶民生活の実態を理解することにも努める。 |
科目内容 |
―『西鶴』の描いた「恋」の姿― 『好色一代男』世之介の恋の数々を始めとして、身分違いの恋を貫く大名の姪御様、恋ゆえ狂乱するお夏など、西鶴の描いた恋の諸相を時代背景や当時の風俗を確認しながら読み進める。 |
授業計画 |
〔前期〕 1 作者「西鶴」について…西鶴の伝記や作品を概観する。 2 『好色一代男』を読む。…色道の達人世之介の姿を通して、当時の恋の諸相を理解する。 (1) 巻1の1「けした所が恋のはじまり」…一代男世之介の設定を理解し、その意味を考える。 (2) 巻4の2「形見の水櫛」…亭主を嫌って家出した女と世之介の悲恋。当時の女性の立場についても理解する。 (3) 巻5の1「後は様つけて呼ぶ」…名妓吉野と世之介の粋。遊里における美意識を探る。 (4) 巻6の1「喰ひさして袖の橘」…奴三笠の心中立て。遊女の恋、真心について考える。 3 『諸艶大鑑(好色二代男)』を読む。…遊里の真実と偽りを理解する。 (1) 巻1の2「誓紙は異見のたね」…遊里での恋とは?誓紙の意味を探る。 (2) 巻5の3「死なば諸共の木刀」…客と遊女ゆえに女を信じられなかった男の姿。遊里での恋の限界を理解する。 〔後期〕 1 『諸国はなし』を読む。 巻4の2「忍び扇の長哥」…身分違いの恋を貫く大名の姪。彼女の立場と主張を理解する。 2 『好色五人女』を読む。…遊里を離れ現実社会の事件を元にした作品。事件への西鶴の視点・解釈を探る。 (1) 巻1「姿姫路清十郎物語」…但馬屋の妹お夏と手代清十郎の恋。 (2) 巻3「中段に見る暦屋物語」…いたづらから始まったおさんの恋。 |
評価方法 | 試験期間中に筆記試験を実施する。 |
教 科 書 | プリントを配布する。 |
参 考 書 | 谷脇理史・西島孜哉(編)『西鶴を学ぶ人のために』世界思想社など |
留意事項 | できるだけ通年で受講すること。 |