食品加工学 森  孝夫
授業目標  加工食品の利点,欠点を理解し、日常の食生活に対応できる知識を身につける。
科目内容  最近の食生活では加工食品が著しく増加し、日常食べている食べ物の約60%を占めるようになってきている。また、野菜類や果物類、肉類や魚介類などの生鮮食品でも、市販されるまでに冷蔵や冷凍、ガス調節などの処理を行って保存しているものも少なくなく、噴霧乾燥や凍結乾燥・真空包装・ガス置換包装・レトルト食品などの形で保存性を高めている食品も著しく増えてきている。したがって、加工食品についての科学的知識と正しい取扱いを習得しておくことは、今後の食生活を営むうえで極めて大切なことと思われる。この講義では、穀類・豆類・野菜類・肉類・魚介類・卵・油脂などの加工方法やその原理、し好飲料や調味料の製造法と取扱いなどを科学的に解説するとともに、食品の保存方法と包装を中心としてその原理と方法をできるだけ具体的に分かりやすく解説する。また、加工食品の規格や表示の問題についても触れる予定である。
授業計画 1 食生活の展開と食品加工
2 農産食品の加工(穀類の加工品、豆類の加工品、イモ類の加工品、野菜類の加工品、果実類の加工品)
3 畜産食品の加工(畜肉の加工品、卵類の加工品、乳類の加工品)
4 水産食品の加工(水産物の特性と加工、水産物の冷凍品、水産物の乾燥品、水産物の塩蔵品、練り製品、水産物の缶詰、水産物の燻製品、海藻の加工品)
5 し好飲料およびインスタント食品
  (し好飲料、アルコール飲料、インスタント食品・組立て食品)
6 調味料および食用油脂(調味料、甘味料、香辛料、食用油脂と加工油脂)
7 食品のおもな加工法
  (物理的な作用による加工法、化学的な作用による加工法、生物的な作用による加工法)
8 食品の保存法と保存食品(水分活性の低下による保存、pH低下による保存、低温による保存、燻製による保存、滅菌・殺菌による保存、食品照射による保存、穀類・イモ類の生のままでの保存、ガス調節による保存)
9 食品の包装と包装食品(食品包装の意義、食品包装の種類と包装材料、缶・びん詰食品、レトルト食品、その他の包装食品)
10 加工食品の規格と表示制度
  (加工食品の規格と表示の必要性、日本農林規格と地域食品認証制度、特殊栄養食品、缶マーク、食品容器の表示、その他の表示、加工食品の製造流通基準)
11 食品加工と微生物
  (人と微生物の出会い、食生活と微生物のかかわり、微生物の種類、微生物の一般的性質、食品加工に関係のある微生物)
12 加工食品と食品衛生
  (変化した日本人の食生活と安全性、食品衛生の概念、加工食品の安全性、食中毒、食品の放射能汚染、食品添加物、加工食品に対する衛生的配慮)
評価方法 試験期間中に筆記試験(100点満点)を実施する。
教 科 書 森孝夫編『食品加工学』化学同人
留意事項 本科目はフードスペシャリスト必修科目である。

 close