経営戦略論A | 赤岡 仁之 |
授業目標 | これからの企業の方向性を競争という角度から捉えていく。 |
科目内容 | 複雑化、多様化の様相を呈しながら熾烈さを増してきた競争の側面から、企業戦略のあり方を考察する。ビール業界におけるキリンビールとアサヒビールのドライ戦争などは我々の記憶に新しいところであるが、どのような方法で企業は戦略を構築し、他のライバル企業に戦いを挑んでいるかを解明する。できるだけ身近な事例を中心にして、企業の競争戦略を紹介していく。 |
授業計画 |
1 企業競争の概念 高度成長期の終焉により、市場の全体的パイの拡大が困難になったため、企業は限られた市場需要を奪い合うという競争に直面した。そのため、かつての潜在的需要を開拓していくという間接的競争から、競争者をたたいてその取り分を奪うという形の直接的な市場競争意識が企業行動の中核として生まれてきた。このように、戦後から今日までの企業競争のあり方がどのように変化してきたかを考察する。 (1) マーケティングと競争 (2) 近年における競争の変化 2 経営資源をベースとした競争戦略 今日的な競争関係は、企業の保有している経営資源(ヒト・モノ・カネ・ノウハウ)の量や質で四つのタイプに分類できる。すなわち、リーダー企業、チャレンジャー企業、フォロワー企業、ニッチャー企業であり、例えばファストフード市場におけるリーダー企業はマクドナルド、チャレンジャー企業はモスバーガーである。いくつかの業界を取り上げながら、各競争地位の最適な行動について考察する。 (3) 競争地位別戦略の概念と登場背景 (4) リーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャー企業の戦略定石 (5) ケース研究@ファストフード市場(マクドナルドvsモスバーガー) 3 産業組織論をベースとした競争戦略 競争を激化させる5つの構造要因から業界の中心的な構造特徴を見つけ出すことによって、業界の平均と比較した自社の長所と短所を発見し、戦略を策定していこうとするM.E. ポーターの諸説を中心に、産業組織論と競争の接点を考察する。 (6) 産業組織論とは (7) ポーターの競争戦略 4 規格をめぐる競争 古くは、家庭用VTR市場におけるVHS対ベータマックスの競争にみられるように、今日、標準化をめぐる競争に関心が高まっている。このような標準化は企業間競争のなかで淘汰され、多くの消費者にコモンセンス化されたものであり、ディファクト・スタンダードと呼ばれるが、標準化の競争は、製品ライフサイクルの段階や市場における企業の競争地位を考慮しながら、競争と協調のバランスをいかに構築していくかという重要な問題を含んでいる。 (8) ディファクト・スタンダード (9) ケース研究Aファミコン市場(任天堂vsソニー) (10) 今日的規格競争の意義 5 その他の競争と企業間競争の展望 (11) 自動販売機をめぐる競争(ケース研究B缶コーヒー市場) (12) 企業間競争の展望 |
評価方法 | 小テスト(80点)、平常点(20点) |
教 科 書 | 特に指定なし、プリント配布 |
参 考 書 | 和田・恩蔵・三浦著『マーケティング競争』有斐閣、ポーター『競争の戦略』ダイヤモンド社 |