精神分析 −心の深層を知る− | 小林 和 |
授業目標 |
人は幼児期や過去の体験を無意識の内容物として抱え持っている。それが、日常の言葉、行動、空想、失策行為、夢、作品、あるは精神的病いの症状などに影響をおよぼす。 心の時代といわれる今日、こうした理解を基にして、他者に関してはもちろんのこと、自己の心の深層を知る。 |
科目内容 |
フロイトが神経症の治療法として創始した精神分析は、やがて、他の方法ではほとんど接近不可能な心の深層を探求する方法となって、心の発達とその成長過程が明らかになった。 無形の心が、構造論、局所論、防御論を理解するだけでも鮮明になる。すると、心を育てるとはどういうことかが分かってくる。こうして、親や「こころ環境」(小林)が心の成長におよぼす影響を学ぶ。 |
授業計画 |
1 シグムント・フロイトという人。精神分析を創始する過程 2 無意識の力動とその意義 言葉、行動、失策行為、空想、夢、作品、あるいは症状の意味を読む 3 幼児期体験とは何か?そしてその意義は? 4 心の機能1:構造論 (1) イド/エス (2) 自我 (3) 超自我 5 心の機能2:局所論 (1) 意識 (2) 前意識 (3) 無意識 6 心の機能3:防衛論 (1) 抑圧 (2) 退行 (3) 昇華 (4) 否認 (5) 取り消し (6) 反動形成 (7) 投影 (8) 投影同一視 (9) 躁的防衛 (10) 自己愛的内向 7 性の理論 (1) 小児(幼児)性欲 (2) 性器性欲 8 心の発達と成長1:乳児期(口愛期)・基本的適応の時期 9 心の発達と成長2:幼児期(肛門期〜男根期) 家族内適応の時期〜一般社会適応の準備期 10 心の発達と成長3:学童期(潜伏期)・一般社会適応の時期 11 心の発達と成長4:青年期(性器期)・社会的独立の時期 12 心の発達と成長に関与する親の役割と「こころ環境」 13 部分対象関係と全体対象関係。移行(過渡)対象という概念 14 エディプス・コンプレックスと攻撃性と創造性 15 転移/逆転移 16 アイデンティティ(自我同一性)とは? 17 精神分析家がみる健康とは? 18 精神分析が目指すところ |
評価方法 | 試験期間中の筆記試験に、受講状況や講義中の質疑応答などの平常点を加味する。 |
参 考 書 | 土居健郎『精神分析』、小比木啓吾『現代精神分析の基礎理論』、『フロイト思想のキーワード』 |
留意事項 | 受講することがまず大切。精神分析に関する専門書は独力で読解するのは非常に困難である。精神分析学上の基本的素養を身につけると、難解に見えた書物が面白くなってくる。 |