食品学特論T | 清原 利文 |
授業目標 | 酵素は生命現象の実際上の担い手である。この生命現象のもとは全て酵素が触媒する化学反応であり、生物は一種の化学工場のようにみえる。酵素は食品、製薬、発酵、臨床医薬などあらゆる分野で利用されている。そこで、この酵素についての理解を深めることを目的とする。 |
科目内容 | 通常、生体内で合成される1つの有機物質を工場で合成する場合、過酷な条件下、莫大なエネルギーを使い、多額の設備投資を行って生産される。一方、生体内では、数千もの有機物質の化学反応が穏和な条件下、水中で組織的に整然と行われる。この反応に関与しているものが酵素である。本講では、酵素の特質、作用機構、産業における利用など、酵素に関する問題を平易に解説する。 |
授業計画 |
1 酵素とはなにか 酵素の働き、酵素反応の速さ、酵素の特異性、酵素系、酵素の命名法、酵素の共同因子について概説する。 2 酵素反応の定量的取り扱い 化学反応の予備知識、基質濃度の影響、ミカエリス定数とその意味、酵素活性の単位、Kmの求め方及びV/Km比について、酵素の阻害、酵素反応と温度、酵素反応とpHについて解説する。 3 酵素の触媒作用の機構 酵素の活性部位、結合のサブサイト、誘導適合説、触媒部位について述べる。 4 酵素の合成と調節 酵素の誘導、フィードバック阻害、アロステリック阻害、修飾反応による調節、カスケード系、タンパク質分解酵素の活性化と不活性化などについて概説する。 5 酵素と病気 先天性代謝異常、酒と肝臓疾患と酵素、タバコと白血球エラスターゼと組織破壊、老化と酵素について述べる。 6 酵素の利用 食品産業と酵素、日用品と酵素、医薬品と酵素、固定化酵素、タンパク質工学と酵素の改変について説明する。 |
評価方法 | 理解度は試験(100点満点)で評価する。 |
教 科 書 | 江上・太田・丸山編 藤本大三郎著『生命科学シリーズ 酵素の化学』裳華房 |
参 考 書 | 船津勝編『酵素』講談社 |