「教科書」にない日本史 泉  武夫
授業目標  近世から近代にかけてのわが国の歴史の特徴的な時々の問題点を学問的な立場から多面的に捉え、今日求められている現代史への糸口を探ろうとするものである。
科目内容  戦国時代を通じて古代的、中世的世界を克服した近世封建制について考え、徳川政権下での商品経済の展開と民衆文化の繁栄の意味を探り、やがて幕末の外圧と貨幣経済が幕藩体制の倒壊に導く政治過程を学ぶ。近代についてはヨーロッパの思想がどのように受容され国権論に転化するか、列強の進出にどう対応し近隣諸国に迫ったか、資本主義の成長が政党政治や大正デモクラシーの運動とかかわりつつ、その未熟さがいかなる日本的なファシズムを生み出したかを考えていく。
授業計画 1 近世
 (1) 織豊政権から徳川初期の政権について                2回
  ア 信長、秀吉、家康に共通する政策
  イ 政権の基盤や人物像など
 (2) 上方と江戸について                        2回
  ア 寛永、元禄文化から化政文化への発展を支えた経済事情
  イ 上方の文化と江戸の文化の特徴
  ウ 京・大阪と江戸の町の比較
 (3) 幕末の政治情勢について                      2回
  ア 新時代への国家構想について−佐藤信淵、橋本左内、ヨセフ・ヒコ、西周
  イ 幕府と雄藩と倒幕運動−薩摩藩主島津重豪、斉彬、久光を中心として
2 近代
 (1) 自由民権運動について                       1.5回
  ア ホッブス、ロック、ルソーの思想
  イ 天賦人権思想の運動の展開と挫折
  ウ 植木枝盛、中江兆民、福田英子の活動
 ※ 岸田俊子、矢島楫子なども紹介
 (2) 日清、日露戦争について                      1.5回
  ア 国際情勢と戦争の原因、性格について
 (3) 明治後期から大正期について                    2回
  ア 藩閥官僚政治から政党政治への展開
  イ 社会運動の発生−青鞜社、友愛会など
 (4) ファシズムについて                        1回
  ア イタリア、ドイツのファシズムとわが国の政治動向
評価方法 定期試験において事前に提示された大問二問、小問二問を選択し論述、平常点加味して評価。
教 科 書 泉武夫『歴史から見たヨーロッパとアジア日本』ソフィア叢書
参 考 書 自作プリント中で紹介。
留意事項 歴史に関するマスメディアに興味と理解に努め、歴史と現代のかかわりを常日頃から身近なものとして捉えるよう心掛ける。

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