女性と哲学 関根 小織
授業目標  女性であるということは哲学ではどのように考えられてきたのか見ることを通じて、哲学が人間の本質をどのようなものとして規定してきたかを見ていく。
科目内容  人間の規定と女性の規定は関連している。人間を動物から分ける指標を理性におく近代の合理主義哲学は人間のなかの非理性的なものを排除することと同様に女性を排除してきたとの反省を現代哲学は行なっている。哲学が、理性と感情、能動と受動、文化と自然、といった概念上の二項対立を男性と女性という性差に置き換えてきたこととその危険性について考察する。
授業計画 1 導入  理性とは 古代のロゴス、中世のラティオ、近代の(合)理性
古代哲学の女性観と理性――神的狂気の両面性
2 プラトンのイデア論
3 プラトンのエロス論、理想国家論
近代哲学の女性観と理性――啓蒙と理性の光と影
4 カントの女性観  『美と崇高の感情に関する考察』
  美なる性としての女性と崇高なる性としての男性
5 ルソーの女性観  『エミール』
  理想の女性像ソフィーにみられる定型的女性観
  自然としての女性と文化としての男性
現代哲学と女性
 現代思想
6 デリダ  自然/文化という概念図式(形而上学)への批判
7  〃 
 女性の思想家
8 アーレント  労働と仕事〜オムレツを作ることと論文を書くことは何が違うのか
9   〃
 応用倫理学
10 妊娠中絶擁護思想と身体自己決定権  トムソン
11         〃          トゥーリー
12 まとめ
評価方法 レポートによる評価(出席点を加味する)。
参 考 書 岡崎文明他『西洋哲学史――理性の運命と可能性』昭和堂 1994

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