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年度 2005
科目名 古典文学講読A
担当者名 藪 葉子

科目目標
The Objectives
 古典文学における代表的な作家や作品を取り上げて本文を読解し、表現・構成・背景などの面か
らその特性について考察する。
授業内容
The Content of the Course
 『源氏物語』の末摘花巻の前半部分を読む。末摘花巻は光源氏の若かりし頃の物語であり、滑稽
味あふれる巻であると同時に、『源氏物語』の構成上、夕顔巻・若紫巻といった他の巻との関係も
工夫されている巻である。そのような末摘花巻の特色に触れ、おもしろさを味わう。
授業計画
Class Plan
1 『源氏物語』について。現存する古典の物語作品が抱える問題について、作者の問題、本文の
 問題などを説明する。
2 冒頭部分を読み、夕顔巻とのつながりを理解する。特に、本文の異同も確かめながら、語りは
 じめの言葉のリズムに注目する。
3 光源氏が、大輔命婦から常陸宮の姫君(末摘花)の噂を聞く場面を、大輔命婦という人物と、
 末摘花が親しんでいる琴(きん)の琴(こと)という楽器に注目して読む。
4 光源氏が月夜に末摘花の琴を聞く場面を読み、末摘花邸の荒れた様子と帚木巻の「雨夜の品定
 め」との関わりを理解する。
5 頭中将が末摘花邸まで光源氏を尾行してきた場面を読む。頭中将と光源氏、両者の衣装に注目
 し、また、この場面を描いた源氏絵も鑑賞する。
6 頭中将が光源氏と左大臣邸に帰る場面を読み、牛車という乗り物、高麗笛という楽器、そして
 『源氏物語』における春という季節に注目する。さらに、光源氏とその正妻である葵上の関係の
 描かれ方を理解する。
7 光源氏と頭中将の末摘花をめぐる競い合いの場面を読み、当時の手紙のやり取りに注目する。
8 春から秋への季節の移り変わりを表す本文から、末摘花巻と夕顔巻、若紫巻の時間の流れの関
 係を理解する。
9 光源氏が、再び末摘花邸を訪れる場面を読み、荒れ果てて雑草の生える邸(やしき)の様子 
 と、後の蓬生巻の末摘花邸の描かれ方とを比較してみる。その際、『源氏物語』絵巻の蓬生巻の
 絵も鑑賞し、『源氏物語』絵巻の他の巻の絵についても簡潔に説明する。
10 訪問してきた光源氏に対応する末摘花の態度の特異さを読み取る。また、本文に書かれる室内
 調度や当時の貴族の邸(やしき)のつくりを理解する。
11 光源氏からの語りかけに末摘花からは返答がないという場面を、特に、末摘花の衣装からただ
 よう香の匂いなどに注目して読む。
12 前期のまとめなど。
評価方法
Evaluation Method
・試験期間中に筆記試験を実施(80点)
・レポート(20点)
・試験期間中の筆記試験(80点)と小レポート(2回ほど、20点)とで評価する。

教科書
Textbook
源氏物語 末摘花/松尾聰・永井和子校註/笠間書院
指定図書
Reserved Books

参考書
Reference Books

留意事項
Special Class Information

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