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年度 2007
科目名 日本建築史
担当者名 大谷 孝彦


科目目標
The Objectives
日本建築史によってそれぞれの時代と地域の文化、社会、経済などと建築空間の諸現象との関係を理解し、人間存在の根拠を広く、深く体得する。日本建築史では具体的に各時代の建築様式、空間構成、構造、意匠、材料などの諸特徴を知識として習得し、建築設計に必要な感性を養う。
授業内容
The Content of the Course
建築様式、空間構成、構造、意匠などの特徴が捉えやすいように、時代ごとではなく種別ごとに建築を取り上げる。フィールドワークでは、近畿圏の建築を主として取り上げて見学する。学生が見学した建物について発表を行い、相互に意見交換を行うなど学生自らが積極的に取り組む授業とする。 
授業計画
Class Plan
1.建築と集落の黎明:発掘調査によって解明された歴史時代以前の建築、竪穴住居、掘建柱建物などを日本における建築の原点として学ぶ。
2.神社建築:原始時代は山や樹木などの自然を対象とした信仰に始まり、仮設の社殿から常設の社殿へと発展し、その建築形式を厳格に維持してきた古代の神社から、その後、中世・近世には、空間構成、装飾などに新しい手法を取り入れ、多様な展開を遂げていった神社建築の歴史を学ぶ。伊勢神宮、出雲大社、住吉大社、春日大社、加茂社、日吉大社、吉備津神社、日光東照宮など
3.寺院建築:寺院建築は、当初は大陸から伝えられたがその後日本の建築の主流として優れた意匠や構造を創り上げてきた。信仰の場であるとともに、建築を通じて各時代の社会や文化を映し出してきた仏教建築、また、合理的な木造の構造であり、優れた意匠でもある軸組み、組み物や軒、屋根、妻飾、扉、建具などの建築要素を学ぶ。法隆寺、薬師寺、唐招提寺、浄土寺浄土堂、東大寺南大門、平等院、清水寺など。
4.上流社会の住宅:古代の寝殿造から、中世には新たな生活様式を創出し、茶・花といった生活美学の展開とともに、内装などの創意と工夫、建築と自然の融合を図る美意識の下に書院造が完成する。住宅建築様式の変遷とその建築空間的意味を学ぶ。王朝絵巻の空間、東求堂・銀閣。
5.数奇屋建築、茶室:中世に出現した数寄の座敷や茶室の空間は、数奇屋の造形意匠として発展し、伝統的和風の手法として近現代の建築にも大きな影響を及ぼしている。それぞれの成立と展開、あるいは、日本空間の一つの典型としてその建築的特徴について学ぶ。待庵、燕庵、桂離宮など。
6.民家:土地の気候・風土や社会的状況によって、その地域共通の特徴をもつ民家は、その形態から、農村の「民家」と都市住宅である「町家」があり、それぞれ、中世から近世へと、その構造・規模や格式を変化させつつも持続性をもって進化してきた。それぞれの建築的特徴とともに、地域の景観との係わりについても学ぶ。箱木家住宅、古井家住宅、吉村家、京町家など。
7.都市の歴史:古代の中国の都城を規範とする条坊制都市から、中世における庶民による町づくり、戦国期から近世へと発展的に展開していった城下町や寺内町など、地域の個性をもった都市の歴史的特性を学び、また、歴史を通じて都市のあるべき姿を考える。
評価方法
Evaluation Method
・試験期間中に試験を実施(70点)
・平常点等(30点)
・平常点は出席点とする。

教科書
Textbook
藤田勝也/日本建築史/昭和堂
日本建築学会/日本建築史図集/彰国社
指定図書
Reserved Books
大田博太郎/日本建築史序説/彰国社
参考書
Reference Books

留意事項
Special Class Information
授業内容に対する学生の意見を求め、授業の改善に役立てる。

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