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年度 2008
科目名 人とサルの間
担当者名 平崎 鋭矢


科目目標
The Objectives
人間とは何か、というおそらく答の見つからない問に少しでも答えようとするなら、ひとつの方法は、ヒトに最も近い動物である霊長類との比較研究を行うことだろう。この講義では、我々と他の霊長類の共通点・相違点を論じることによって、ヒトについての理解を深めることを目標とする。
授業内容
The Content of the Course
本講義では、まずサル(霊長類)の生物学的特徴、生態、環境への適応、行動パターン等について解説し、サルとヒトで異なる点および共通する点を明らかにする。次にヒトがどのような過程を経てサルの仲間とは異なる身体的特徴や生態を獲得してきたのかについて論じ、それらを通して生物としてのヒトについての理解を深める。
授業計画
Class Plan
1.霊長類の分類と哺乳類の中での位置付け:生物の分類の基本的な考え方を概説した上で、哺乳
  類の中におけるサルとヒト(霊長類)の位置づけを論じる(第1回)。
2.様々なサルの紹介:霊長類には200種近い仲間がいる。ビデオ等を用いて代表的な霊長類を紹
  介し、霊長類グループの全体像を掴む(第2回)。
3.霊長類の生物学的特徴と行動:
 (1)霊長類が他の哺乳類とことなる点について、ビデオ等を用いて紹介する(第2−3回)。
 (2)霊長類の生物学的特徴の中でも、特に生殖活動について取り上げる。哺乳類の中でも特殊
    だと言われるヒトを含む霊長類の生殖、出産を概観する(第3−4回)。
4.ヒトとサルの違い:
 (1)社会構造:霊長類とヒトの社会、特に家族というものについて考える。(第4−5回)。
 (2)脳神経:ヒトが持つ大きく複雑な脳の進化的背景を探る(第6−7回)。
 (3)言語:言語を持つのはヒトだけなのか。類人猿に言語を教える試みについて紹介するとと
    もに、言語の背景となった心の進化について概説する(第8−9回)。
 (4)移動運動(ロコモーション):霊長類は樹上に適応することで大きく進化した。我々の体
    にも樹上適応のなごりが数多く見られる。一方で、我々ヒトは特異的な直立二足歩行を発
    達させた。ヒトとサルのロコモーションを比較し、その特徴を考える(第10−11回)。
 (5)文化:ヒト以外の霊長類が行う文化的行動について概説する(第12−13回)。
5.霊長類とヒトの進化:我々ヒトが属する霊長類は約6500万年前に北米に現れたと言われてい
  る。その出現からヒトに至る進化を追う(第2回を中心に適宜)。
6.ヒトとサルを分けたもの:何故ヒトだけが他の霊長類から分かれ、ヒト独自の進化を遂げたの
  か。提唱されているいくつかの説を紹介する(第10回を中心に適宜)。
7.チンパンジーとボノボについて:霊長類の中でも、最もヒトに近いといわれているこれらの2
  種に関する研究成果についてビデオ等を用いて紹介する(第8回を中心に適宜)。
〈講義の進み具合によって、多少のずれが生じる場合がある〉
評価方法
Evaluation Method
・試験期間中に試験を実施(100点)

教科書
Textbook
必要に応じて資料を配布する。
指定図書
Reserved Books

参考書
Reference Books

留意事項
Special Class Information
特に無し。

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