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年度 2009
科目名 現代建築論
担当者名 岡崎 甚幸・天畠 秀秋


科目目標
The Objectives
20世紀の現代建築は急激な変化を重ねた。それは社会の技術や文化や産業の変化、都市化や国際化の影響を受け、機能、表現、規模などの多方面で新しい建築空間を生んだ。しかしまた歴史的建築物や地域や自然に対する人々の憧れも強い。新しい生活と価値観にもとづく現代建築像を探る。
授業内容
The Content of the Course
建築空間と人間行動の関係に関する諸原理を紹介しつつ、現代建築の状況を多様な面から解説する。機能主義(実態概念から機能概念へ)、構造技術や建築材料などの技術革新、都市化、地域性や歴史性、自然環境や風景について考察し、現代建築がいままでに歩んできた道程と、これからの現代建築に求められる精神や技術や価値観、社会が建築家や技術者に求めるものについて解説する。
授業計画
Class Plan
現代建築を具体的にスライドで紹介しながら、また毎週土曜日のフィールドワークで実際の現代建築を見学しながら進める。
1.建築の原理(強用美)、建築教育と社会の仕組み、国家資格と倫理、設計と施工、建築家と技術者、無意識と現代芸術、環境と人間行動、建築空間と人間のかかわりに関する諸原理について紹介する。
2.建築空間の図式と20世紀に生まれた機能主義の空間
 現代以前の図式的・様式的、装飾的空間がめざしたものは何か。そこには屋根の下に庇護された「家」という一つの図式があった。家は屋根とそれを支える構造形式から始まった。しかし施工・構造技術の発達に支えられた機能主義は屋根と家の図式を解体した。家は機能という要素の集合体となった。このことは木造建築とその屋根を設計してみるとよくわかる。さらに装飾や材料の質感が消され、抽象的な面や線の構成による美しさが建築空間に求められるようになった。屋根と同時に窓や出入り口も壁の幾何学的な構成としての開口になり、それらの象徴性も解体した。
3.三大巨匠によって形成された20世紀の空間の特徴 
1)F.L.ライト(自然との融合、装飾)、2)ミース(単純な形態、カーテンウォール)、3)ル・コルビジェ(コンクリート、柱と梁、基準寸法)によって現代建築の特徴を理解。
4.わが国の現代建築が展開する諸特徴
1)新材料と新技術が作る空間:ガラス、鉄骨、打放しコンクリート、PC、鉄骨造、膜構造、新木構造など 2)現代の日本的空間 丹下健三(日本的空間、基準寸法)、安藤忠雄(打放、単純な空間)ほか 3)構造デザインが優先する空間:浄土寺浄土堂、膜構造、シェル構造、大スパン構造、パンタドーム 4)日本の伝統的木造建築の設計手法 
評価方法
Evaluation Method
・試験期間中に試験を実施(60点)
・平常点等(40点) 配点内訳:授業への積極的参加度(30点)、数回の小レポート(10点)

教科書
Textbook
参考文献は授業時間中に紹介する。
指定図書
Reserved Books

参考書
Reference Books

留意事項
Special Class Information
小レポートの際には、授業内容に対する学生の意見を求め、授業の改善に役立てる。

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