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年度 | 2010 |
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科目名 | 犯罪心理学 |
担当者名 | 齊藤 文夫 |
科目目標 The Objectives |
犯罪非行の原因は単一ではなく、心理学的な要因に加え、環境的・状況的・社会的な諸要因や生物学的な負因などが複合していることを学ぶ。刑事政策に関わる諸機関の役割、それら諸機関における臨床心理実務者の仕事など、犯罪非行に関連する諸問題を概観的に理解する。 |
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授業内容 The Content of the Course |
狭義の「犯罪心理」ではなく、犯罪非行に関連する諸問題を主として心理学的な視点から講義する。講義内容として、(1)犯罪とは何か;(2)犯罪原因の探求;(3)反社会的逸脱者の心理査定と矯正処遇;(4)関連するいくつかのトピックス、などを取り上げる。これらのテーマについて、講義のほか、ビデオ教材なども使用して理解を深める。 |
授業計画 Class Plan |
1 はじめに(1回)
「犯罪とは何か」という問題を考える。法律から見た犯罪、犯罪の構成要件などを講義する。 2 犯罪原因の探求(5回) (1) 古典派犯罪学:18世紀の啓蒙思想に始まり、ベッカリーアやベンサムの犯罪観を学ぶ。 かれらの思想は古典派犯罪学と呼ばれ、今日の刑法や刑事政策の基礎ともなっている。 (2) 犯罪人類学:19世紀中葉のイタリアの精神医学者ロンブロ−ゾは、旧来の観念的思弁 を否定し、犯罪者に見られる実証(観察)可能な異常性を発見しようと試みた。 (3) 犯罪生物学と犯罪精神医学:犯罪者の素質や遺伝を重視する犯罪学として、クレッチ マー学派の犯罪体質説、ヨハネス・ランゲの犯罪遺伝説、ジェイコブスの染色体異常説 などを取り上げる。 (4) 力動的な犯罪心理学:フロイトの創始した精神分析学及びそこから発展した力動的心理 学は、今日における犯罪心理学の基礎である。アイヒホルンやヒーリーを取り上げる。 (5) 行動主義的な犯罪心理学:アイゼンクやバンデューラは「無意識」といった観察不可能 な概念を否定し、行動主義的学習論の立場から反社会的行動を理解しようとした。 (6) 犯罪の社会学:犯罪社会学は、20世紀中葉以降、主としてアメリカにおいて発展した。 アノミー論、文化伝達論、分化的接触論、サブカルチャー論、ラベリング論を概観する。 3 反社会的逸脱者の心理査定と矯正処遇(4回) (1) 犯罪者や非行少年の心理査定:事例を取り上げて講義する。 (2) 矯正処遇の実際:ビデオ教材などを用いて、矯正処遇の実際を学ぶ。 4 関連するいくつかのトピックス(5回) (1) 成人犯罪と刑務所の処遇 / (2) 少年非行と少年院の処遇/ (3) 警察活動と被害者支援 / (4) 犯罪と精神障害 / (5) 犯罪非行と心理臨床 (注)以上の授業計画は予定である。学生の理解度や興味関心に応じて、ある程度の変更がありえる。 |
評価方法 Evaluation Method |
・試験期間中に試験を実施(100点) |
教科書 Textbook |
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指定図書 Reserved Books |
福島 章/犯罪心理学入門/中央公論新社 笠井達夫ほか/犯罪に挑む心理学/北大路書房 荻原惠三編/現代の少年非行/大日本図書 |
参考書 Reference Books |
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留意事項 Special Class Information |
犯罪白書をはじめ、犯罪心理学に関する文献は本学附属図書館にも蔵書されている。興味関心のある学生はそれらの文献で自習すること。 |
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