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年度 2010
科目名 「桃太郎」から見る近代日本
担当者名 宮本 浩治


科目目標
The Objectives
時代や社会の中における物語の意味を読み解くことにより,物語の楽しさ・おもしろさを実感する
とともに,読むことの体験を通じて,ことばを見つめ直し,ことばが世界を切り取り,ことばが世
界を作り出していることを認識する。
授業内容
The Content of the Course
昔話や御伽話は,時代や地域によりパロディ化されることは珍しくない。とりわけ,ほとんどの日
本人が知っている「桃太郎」は,パロディ化されることの多い物語であった。講義においては,近
代・現代の「桃太郎」を詳細に考察していくことにより,「桃太郎の意味」,「桃太郎の解釈」に
ついて明らかにするとともに,「近代日本」や「現代日本」の諸相を明らかにしていく。
授業計画
Class Plan
T. 読むことのパースペクティブ −社会・文化的営みとしての読むこと−(第1回)
U. 戦前の桃太郎(第2回〜第8回)
(1)明治期の桃太郎 −近代化と児童文学の萌芽期−
@「主客転倒の桃太郎」 −絵本『鬼桃太郎』(尾崎紅葉)の表現性−
A「鬼退治というメタファー」−「皇国の子としての桃太郎」(『桃太郎』(大江小波)の表現 
 性)−
(2)明治期の桃太郎 −日清・日露戦争期−
@教科書の中の桃太郎
A子ども向け雑誌の中の桃太郎
 −「桃太郎の話の寓意」(『幼学生』)・「今桃太郎」(『少年世界』)を中心にして−
Bナショナリズムと子どもの教育−「征露桃太郎絵本」(『御伽絵話』)・「新鬼ヶ島征伐」
(『婦人と子ども』)の登場−
(3)大正期の桃太郎 −童心の子としての桃太郎−
@「赤い鳥」の時代 −無邪気で可愛い子どもとしての桃太郎−
A「プロレタリア児童文学」の時代 −搾取者としての桃太郎−
(4)昭和戦前期の桃太郎 
@映画となった桃太郎 −国産長編アニメ『桃太郎 海の神兵』−
A強い日本・軍国日本の象徴としての桃太郎
V. 戦後の桃太郎(第9〜11回)
@悪者としての桃太郎 −山地延枝「(寓意随想)桃太郎」,『生活と文化』−
A民主主義の体現者としての桃太郎
・話し合いで鬼を従わせる桃太郎の登場(「人形劇 桃太郎くんばんざい」,『こども朝日』)
・日本一ではない,ただの桃太郎の登場(「ただの桃太郎」,『日本学校劇選』)
W. 表現としての「桃太郎」−「桃太郎」から見る近代日本−(第12〜13回)
評価方法
Evaluation Method
・レポート[作品含む](70点)
・平常点等(30点) 配点内訳:小レポート,積極的参加度

教科書
Textbook
資料プリントを配布する。
指定図書
Reserved Books

参考書
Reference Books

留意事項
Special Class Information
参考書は講義内で紹介していく。

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