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年度 2015
科目名 繊維科学実験
担当者名 奥野 温子
単位 2
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科目目的
Course Objectives
 「繊維学」「繊維製品材料学」で繊維に関する性質や構造形態などをすでに学んできた。このような、衣服素材である繊維の科学的基礎について、実験を通してより深く理解することを目的とし、我々の生活をより豊かにしている繊維材料に関する基礎知識を確かなものにする。又、実験方法を工夫して実行し、まとめてレポートにすることは、日常の勉学においても有意義であり、実験の意義は大きい。又、各実験課題を通して機器の取り扱い方などの正しい方法を学ぶと共に、ただ単にデータをとるだけでなく、実験の目的とするところを理解し、何が求められているのかを判断することが必要であり、座学で学んだ既存の知識を明確にし、“物の考え方”を学ぶ。更に、得られた実験の知識を生かし、未知試料に対する繊維鑑別を容易にし、衣服のトラブル等に対処出来る能力を養う。
到達目標
Class Goal
 被服やインテリアなどを対象とした繊維材料は、化学繊維の発展によって量的にも質的にもその性能は多様となって来ている。このような維製材料を、我々の生活の中の適材適所に有効利用するための性能や性質は、講義を通して詳細に学んできた。この知識を、実験を行うことで明確にし、現在の衣生活に生かせる資質を養うことを目的とする。また、テキスタイルアドバイザーとして、アパレル分野をはじめとする各業界で活躍をする場合に、未知試料の繊維製品の鑑別が出来る能力を身に付けることを目標とする。
授業内容
The Content of the Course
 繊維や高分子についての基礎知識は、被服デザイン、制作、品質管理や消費者問題だけでなく、インテリアも含めてすべての基礎となる。その大切な知識を実験を通して習得する。実験を行うにあたっては、心構えと準備が必要であることから、全般の諸注意について講述する。又、実験に使用する器具や素材の扱い方等を習得すると共に、顕微鏡観察、耐熱性、耐薬品性、染色、混用率など繊維の鑑別実験を通じて繊維素材への理解を深める。得られた結果は整理をし、何故このような結果になったのかを判断して考察を行うこと。このことは、実験の一環として大切なことであり、レポートをまとめる事によって初めて実験は完成をする。
授業計画
Class Plan
第1回 実験上の心構えと準備及び繊維、織物、編物試料の調査
 @実験を行うにあたり色々な危害を想定して、実験中の服装等の注意から、機器や薬品の扱いに
 対する心構えなどについて説明する。A実験の記録、レポートへのまとめ方、文献の引用方法に
 ついて講述する。B未知試料について鑑別を行い、レポートにまとめる。
第2回 ガラス器具の取り扱い方法
 ガラス器具の名称、取り扱い方法を熟知することを目的とし、実習を行いながら説明をする。
 又、簡単なガラス細工を体験する。
第3回 燃焼試験
 @繊維はその種類により燃え方が異なる。その性質を利用して繊維の鑑別を行う。
 A第4回で実施する実験の準備をする。
第4回 試薬による溶解試験(1)
 繊維は、いろいろな薬品に対して、溶解性が異なる。それは何故かを実験を通して学ぶ。
 本実験は、混用率を調べる実験の基礎となるもので現象をよく観察をしておくこと。
 第4回では、火気を使用しない試薬3種について試験をする。
第5回 試薬による溶解試験(2)
 第4回で行った実験を受け、主に火気を使用して溶解を行う試薬について実験をする。
 第4回、第5回の実験結果を併せてレポート提出を行う。
第6回 顕微鏡による繊維の鑑別(1)
 顕微鏡により繊維のミクロな形態を観察すると同時に、顕微鏡の扱い方を習得し、繊維の側面
 観察を行う。
第7回 顕微鏡による繊維の観察(2)
 繊維の断面を観察する。断面試料の作製(多少技術と熟練を要する)を習得する。
 第6回、第7回の観察結果を一覧表にまとめてレポートの提出を行う。
第8回 染着試験による繊維の鑑別(1)
 繊維の種類により各種繊維の染着程度が異なる性質を利用し、繊維の鑑別に応用する。
第9回 繊維鑑別試薬による試験(2)
 第8回の実験の続行と、繊維鑑別試薬を用いて繊維の鑑別を行う。第8回、第9回の実験結果を
 まとめ、レポートの提出を行う。
第10回 溶解法による混用率試験(1)
 第4回での実験結果を参考に、2種以上が混紡されている繊維の混用率を求めることを目的とし
 試料の準備を行う。
第11回 溶解法による混用率試験(2)
 第10回で準備をした試料を溶解し、残留した繊維の恒量値を求める。
第12回 木綿繊維のマーセル化加工
 @第11回での実験に引き続き、残留繊維の恒量値を求め、混用率の算出を行い、レポートにまと
 める。A綿繊維にアルカリを用いて艶出し加工を行い、その後染色等を行って、その効果につい
 て検討し、レポートにまとめ提出する。
第13回 ポリエステル織物の減量加工−ポリエステル布の加工−(1)
 ポリエステル織物を、アルカリにより減量させて商品価値を高める加工を実験を通して学ぶ。
 ここでは試料の準備及び溶液を調整し加工を行う。
第14回 ポリエステル織物の減量加工による風合いの変化(2)
 第13回で調整された試料の加工効果を検証するため、物性試験を行いの変化を検討する。
第15回 ポリエステル織物の減量加工による風合いの変化(3)
 第14回での測定を引き続き実施。又、官能試験で加工による布の風合い変化を指で確かめる。
 第13回〜第15回の結果を総合的にまとめて、レポート提出を行う。

(原則的には、以上の実験予定であるが、実験の遂行上によっては変更することもある。)
授業方法
Class Method
 実験は各班(5〜6人、但し受講人数によって変動)に分かれてグループ毎に行う。実験を行うにあたっては、心構えや集中力が必要であること等の諸注意及びレポートのまとめ方等について講述する。実験器具等の扱い方については、実習をまじえて説明する。課題の実験においては、各グループ毎に協力をしながら実験を進め、結果は各自レポートにまとめて、各課題実験の終了後に提出を行う。(提出期限はその都度指示をする)
授業時間外学習
Review and Preview
@実験開始前にはプリントを熟読し、日常着用している衣服のどの様な性能について実験をする
 のかを調査しておく。
A「繊維学」「繊維製品材料学」で学んだ項目を復習をしておく。
B日常着用している衣服の着心地や快適性などから、何故その衣服は快適なのか、何故蒸れるの 
 か・・・等々を、衣服素材や織り組織などから考える様に心掛ける。
Cショッピングセンター等で衣服やインテリア製品を手に取り、素材と風合いや暖かさ、光沢、
 伸縮性などを観察して、素材との関連を考える習慣を養っておく。
D実験後は、直ちにレポートの作成を行うこと。
評価方法
Evaluation Method
・レポート[作品含む](50点)
・平常点等(50点) 配点内訳:実験レポート(50点)、授業への積極的参加度(50点)を加味して総合的に評価する

教科書
Textbook
繊維科学実験の教科書に代わるものとして実験マニュアル詳細のプリントを配付
参考書
Reference Books

地域との連携
Cooperation with the Community

担当教員への連絡方法
How to make Contact
この科目に関する質問、意見等は、okuno@mukogawa-u.ac.jpまで。
受講上の注意
Notices
「繊維学」の基礎知識を習得しておくこと。
本実験中は、危害を防止するため、必ず白衣を着用のこと。

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