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年度 2018
科目名 アウシュビッツ 戦争と女性
担当者名 河内 鏡太郎
単位 2
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科目目的
Course Objectives
「戦争を知りたい」。こう考える学生は確実に増えている。29年度後期は定員200に対して770人の受講希望者があった。今年3月には18人の学生がポーランドのアウシュビッツを訪れ、その目でホロコーストの現場を確かめた。なぜ行動力を伴う学びができるのか。学生が、これまで学んできた「戦争」は年表や地名・人名を記憶する「現代史」の一部であった。その時代を生きた人々の息遣いを感じる教育に巡り合ってこなかった。たしかに戦争体験者は減っていく一方である。戦争遺跡も消えている。しかし、若者の関心は薄れるばかりだろうか。人間の歴史として位置付ければ、興味を待つはずである。ここに力点が置かれる。第二次大戦の最大の惨禍とされるアウシュビッツとヒロシマ、そしてわが国で唯一戦場となった沖縄。兵士ではない女性たちにも容赦なく悲劇は襲った。新聞記者としてその場に立ち、膨大な証言と遺品に向き合ってきた。伝えるべき事実は今も存在する。学生たちには、きっと初めて知ることが多いだろう。登場するのはすべて、みなさんと年齢の変わらない女性ばかりだ。身近に感じることができる、と考え「戦争と女性」をキーワードにした。戦争遺跡の保存、証言者からの継承など、新しい試みを織り交ぜて展開される。現代の戦争にも触れてほしい。
到達目標
Class Goal
「戦争はいけない」。それは小学生の感想である。大学生ならそこから一歩踏み出さなくてはならない。目を背けていては何も生まれない。向き合うことからなにかが始まる。酷い事実や映像も出てくるが、これまでも受講した多くの学生が凝視してきた。アウシュビッツを訪問した学生も今回ツアーを加えると27人にのぼる。広島・長崎、沖縄に行き、授業で学んだ戦争を現地で追体験した学生も多い。このように生まれた関心を「行動」にまで高めることは大事なことである。戦争を考える場は数多くある。「火垂るの墓」もここ西宮が舞台だ。母となって、教壇に立って子供たちに問われてもたじろがないぐらいの知識は身につけてみよう。この授業を通じて、祖父母の戦争体験を聞くようになった学生たちもいる。自宅に持ち帰った授業資料をもとに家族と語り合うという受講者もいる。戦争を遠い世界の出来事と思わないようになること。それを目標にしよう。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉がある。その意味を確かめる機会にもなる。
授業内容
The Content of the Course
戦争は多くの女性や子供たちを犠牲にした。ホロコーストでは150万人もの子供が殺害された。なぜ起きたのか。なにがあったのか。アンネ・フランクら少女たちの叫びを聞いてみよう。アウシュビッツがどうして生まれたのか。そこでなにが行われたのか。15歳前後の少女たちの悲劇を通じて戦争の狂気を考察してもらいたい。アンネが生きていれば今年6月で89歳になる。まだ歴史といえる歳月ではない。そんな時代に、600万人ものユダヤ人が虐殺されたことをあなたたちは忘れてはならない。ホロコーストと戦った杉原千畝、コルチャック先生、オスカー・シンドラーたちの勇気も知って欲しい。アンネがアウシュビッツから移されドイツの収容所で亡くなった頃、日本の沖縄では高等女学校の生徒たちが看護隊として修羅の戦場を駆け巡っていた。「ひめゆり」だけではない。「白梅」「梯梧」「瑞泉」などの学徒隊員たちが次々と犠牲になった。知られざる沖縄県立第二高等女学校「白梅隊」の悲劇も知るべきである。そして、8月6日、広島でも多くの女子学徒の命が消えた。現在、広島では語り部の将来を見据えたプロジェクトが進んでいる。被爆体験のない人による「伝承者」の育成だ。本学卒業生が「伝承者」の一人になっている。ゲストとして、「伝える」ことの意味を語ってもらう。読売新聞(大阪)の社会部記者として戦争の現場に立ち、いまも体験者らと深い関わりを持つ担当者があの時代を、平易に具体的に伝えてくれる。
 3月のアウシュビッツアーに参加した学生も体験を報告する。生の声によってあの時代にリアリテイを感じることができる。
授業計画
Class Plan
1.アウシュビッツ 「アンネの日記」のアンネ・フランクは一時アウシュビッツに収容されていた。アンネは次に移送されたドイツの収容所で死ぬ。その最期は。アンネの夢は「死んでからもなお生き続けること」であった。
2.アウシュビッツ 「アンネの日記」が語りかけるのは。驚くのは14歳の少女があの時代に女性の「自立」を考えていたことだ。日記がなぜ残ったのか。 
3.アウシュビッツ ポーランドは戦後二年後に法律をつくって強制収容所跡の完全な保存を決めた。膨大な遺品とともに残されている。選別、ガス室、焼却炉。アウシュビッツで行われたことを考える。
4.アウシュビッツ アウシュビッツ博物館でしか見られないドキュメンタリー映像を通じて世界遺産として意義を問う。 
5.アウシュビッツ なぜホロコーストは起きたのか。いまだ解明できないプロセス。ユダヤ人迫害の歴史を考える。
6.アウシュビッツ ドキュメンタリー「少女ハンナのかばん」。アウシュビッツで死んだ一人の少女のかばんを追いかけ、遺族まで突き止めた日本人女性の思いは。
7.アウシュビッツ 「勇気をもって戦った人々の物語@」ビザを発給して6000人のユダヤ人を救った外交官杉原千畝やコルチャック先生、コルベ神父ら。
8・アウシュビッツ 「勇気をもって戦った人々の物語A」映画にもなったオスカー・シンドラーらを描く。
9・アウシュビッツ「勇気をもって戦った人々の物語B」ナチスに抵抗し死刑になった大学生の兄妹、デンマーク国民などの闘いを。
10・沖縄 「白梅の悲話@」「ひめゆり」だけではない女子学徒看護隊の悲劇。当時15歳。唯一の地上戦となった沖縄で「軍属」として戦死した乙女たち。「1フィート映像でつづる ドキュメント沖縄戦」を見る。
11.沖縄 「白梅の悲話A」学徒隊の戦い。入隊して急ごしらえの看護教育。手術場勤務の苦しみ、最初にした注射。解散命令、動けない兵に青酸カリを渡した少女たち。
12.沖縄 「白梅の悲話B」犠牲者22人の最期を追う。大嶺美枝さんの遺書。娘の遺骨を探す母たち。生き残った人々の苦悩。白梅同窓会会長の追悼の言葉が伝える沖縄の「今」は。
13.ヒロシマ 体験を被爆者から受け継ぎ、新たな視点で原爆を語り継ぐ「伝承者」。広島市のプロジェクトに参加、三年におよぶ研修を受け「伝承者」となる卒業生の小国美弥子さん。「決して被爆者のコピーをするのではありません」という思いを聞く。
14・ヒロシマ 少女たちの戦争を描いたアニメ「夏服の少女たち」。遺品は語る。「人の影」「黒焦げの弁当箱」「美代ちゃんの下駄」。遺品には物語がある。それを知らなければ、遺品の持ち主の「こころ」は届かない。 
15・ヒロシマ 被爆したあと脱出した「桜隊」の二人の女優、仲みどりと元宝塚のスター女優園井恵子の死を追う。仲は世界最初の原爆症患者と認定された。女優、吉永小百合さんが朗読する原爆詩「第二楽章」を聞き、「伝え方」を学ぶ。
授業方法
Class Method
わかりやすく」に力点が置かれる。映像や文学などの記録を活用する。毎週、授業の内容について「コミュニケーションシート」(CS)に記入する。理解度を自ら確認する必要がある。採点、添削を経て翌週に返却される。内容は次回授業で詳細に紹介、受講者と共有できる。同時に受講者からの疑問、提案を授業に速やかに反映させ、双方向授業、課題発見を意識できる。
これまでに学んだ知識を整理して、新たに構築をしなくてはならない。多くの学生は現代史を学ばず、年表、人名、地名などの基礎的な資料すら理解できていない。自ら調べようとする努力が必要である。そのためには、次回講義の内容を紹介、毎回、事前学習の結果を発表させる。携帯端末を利用しても、チェックできることは数多くある。身近にある戦争。たとえば祖父母と語り合うこと、地域における戦争の痕跡や資料が保管、展示されている施設を見学することなどが奨励される。映画・映像、文学をそれぞれ選択し、これらに触れることによって時代背景などへの理解を深める。平和学習や修学旅行で訪問した広島・長崎や沖縄への再訪を促して、年齢によって、印象が異なる戦争観などを実感してもらい、常に「戦争」というキーワードを考える。
準備学習(予習・復習等)
Review and Preview
予習 レジュメに次回テーマなどを記載。調べるべき主題、固有名詞、映像、文献などが列挙される。ネット検索に終わらせず、資料へのアプローチの手法などが求められる。映画・映像、文学をそれぞれセレクトし、これらに触れることによって時代背景などへの理解を深める。

復習 毎週、授業の内容について「コミュニケーションシート」(CS)に記入させて理解度を確認。採点、添削をして翌週に返却される。このなかで復習すべき点を具体的に考察することができる。同時に復習から生まれたさらなる疑問、提案を次回授業に速やかに反映する。返却された指摘を確実に実行することで、事実の把握、文章力の向上を図ることがで可能になる。
評価方法
Evaluation Method
・平常点等(100点) 平常点等配点内訳:コミュニケーションシート一回5点×15回計75点  積極的参加度25点

教科書
Textbook

参考書
Reference Books
ヴェラ・ギッシング/キンダートランスポートの少女/未来社
ロバート・ジェラテリー/ヒトラーを支持したドイツ国民/みすず書房
エーディト・ハーン・ベア/ナチ将校の妻/光文社
C・ペトリ/白バラ抵抗運動の記録 処刑される学生たち/未来社
ヘルマン・フィンケ/白バラが紅く散るとき/講談社
インゲ・ショル/白バラは散らず/未来社
M・C・シュナイダー/白バラを生きる/未知谷
ダイアン・アッカーマン/ユダヤ人を救った動物園/亜紀書房
ルーカ・クリッパ マウリツィオ・オンニス/アウシュビッツの囚人写真家/河出書房新社
ヤニック・エネル/ユダヤ人大虐殺の証人ヤン・カルスキ/河出書房新社
ヤン・カルスキ/私はホロコーストを見た/白水社
シュロモ・ヴェネツィア/私はガス室の「特殊任務」をしていた/河出書房新社
リチャード・ブライトマン/封印されたホロコースト/大月書店
フェリクス・ティフ/ポーランドのユダヤ人 歴史・文化・ホロコースト/みすず書房
花元潔/アウシュビッツの沈黙/東海大出版会
デニス・プレガー ジョーゼフ・テルシュキン/ユダヤ人はなぜ迫害されたか/ミルトス
佐々木美代子/ホロコースト記を読む/論創社
モシェ・ガルバーズ エリ・ガルバーズ/ビルケナウからの生還/緑風出版
トーマス・バーゲンソール/幸せな子 アウシュビッツを一人で生き抜いた少年/朝日新聞出版
高橋秀寿/ホロコーストと戦後ドイツ/岩波書店
エヴァ・シュロス/エヴァの震える朝/朝日新聞出版
地域との連携
Cooperation with the Community

担当教員への連絡方法
How to make Contact
原則として月曜5限をオフィスアワーとしていますが、相談事があれば遠慮なく兼務している図書館長室にきてください。事前に携帯にメールをください。なお連絡先は以下のとおりです。
kawa5113@mukogawa-u.ac.jp(大学)
caaut900@hcn.zaq.ne.jp(個人)
merutaro2@ezweb.ne.jp(携帯)
090-1226-0866(携帯電話)
受講上の注意
Notices

卒業(修了)認定・学位授与の方針との関連
Relation to the Diploma and Degree Policy


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