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年度 2018
科目名 日本語のレトリック
担当者名 寺島 修一
単位 2
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科目目的
Course Objectives
日本語の修辞技法(レトリック)に関する理解を深める。
到達目標
Class Goal
レトリックの仕組みを理解しており、文章表現のレトリックを見抜き、また、自らの表現の中に効果的に用いることができる。
授業内容
The Content of the Course
 我々は、言葉によって何かを伝えようとするとき、いかに効果的に表現するかという点に腐心する。客観的な事実の提示を超えた表現の「あや」、それがレトリックである。レトリックは、伝統的な文章表現の技法としてヨーロッパにおいて位置づけられてきたが、現代の言語学の中で新たに再編されつつある。一方、日本におけるレトリックは、和歌の修辞技法として洗練されてきた。和歌的なレトリックは、日本語に固有の言語的特徴を活かす形で発達し、現代の言語生活の中に生き続けている。身近な日本語の表現の中にレトリックを発見し、その仕組みを理解することをとおして、日本語表現の特性を考える。
授業計画
Class Plan
第1回 レトリックとは何か
 客観的な事実の提示を超えた表現上の工夫をレトリックという。なぜレトリックが用いられるのか、レトリックを用いることにどのような効用があるのかを考える。
第2回 直喩
 「AのようなB」という表現の仕方を直喩という。そのとき「A」と「B」の間にはどのような関係があるのか考える。
第3回 隠喩
 「玉虫色の判決」のような表現を隠喩という。これを直喩で表現するならどのように言えばよいか、直喩と隠喩の関係を考える。
第4回 見立て
 古今集歌「春立てば花とや見らむ白雪のかかれる枝に鴬ぞ鳴く」では、雪を花に「見立て」ている。「見立て」は古典和歌に頻用される比喩表現であり、直喩・隠喩と同様に考えることができる。
第5回 対句
 「聞いて極楽 見て地獄」のような表現が対句である。対句にどのような効果があるのかを考える。
第6回 押韻
 漢詩からヒップホップに至る押韻の表現の歴史を追いつつ、言語の音声的側面が修辞にどのように関わるかを考える。
第7回 掛詞
 「知るも知らぬも逢坂の関」の「逢(あふ)」は動詞と地名(の一部)の掛詞になっている。なぜ掛詞のような技巧が発達したのかを考える。
第8回 換喩
 「彼は黒帯だ」と言うが、彼は帯ではなく人間である。「官邸の意向」と言うが、官邸は人間ではなく建物である。こうした換喩表現がどのような仕組みで成り立つのかを考える。
第9回 パロディ
 NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」のサブタイトルは(たぶん)すべて著名な小説や映画のタイトルをもじっている。例えば第37話「武田が来りて火を放つ」は横溝正史の小説『悪魔が来りて笛を吹く』に由来する。このようなパロディの持つ効果について考える。
第10回 本歌取
 藤原定家の「春の夜の夢の浮橋とだえして峰に別るる横雲の空」は、著名な和歌の表現や漢故事などを踏まえた、本歌取の歌である。本歌取は本質的にパロディと同じタイプの技巧であるが、パロディの性質を再検討させる面を持つ。
第11回 誇張
 「一生のお願い」を何度もする人がいる。「このご恩は一生忘れません」と言っても、なかなか実行することは難しい。このような誇張法を言語表現の問題として考察する。
第12回 対義結合
 「うれしい悲鳴」は悲鳴であっても肯定的な評価であり、「有難迷惑」はありがたいと言うが否定的な評価である。対義語を結合させたこのような表現が成り立つ理由を考える。
第13回 緩叙
 「知らないでもない」という表現は、論理的には「知っている」ことと同じだが、表現効果としては同じではない。そのような表現の効果を考える。
第14回 反語
 「べっ、別にあなたのこと心配してるわけじゃないんだからねっ!!」と言うが、もちろんめちゃめちゃ心配している。なぜそのような表現ができるのか、なぜそれが誤たず理解されるのか考える。
第15回 まとめ
 これまでの内容を振り返り、改めてレトリックの表現が、人間の認識や言語、日本語の特性とどのように関わるのか考える。
授業方法
Class Method
基本的に講義の形式を取るが、ディスカッションを取り入れ、毎回一度以上の発言を求める。
準備学習(予習・復習等)
Review and Preview
(予習)
 次回の内容について参考書等を参照してその概要をつかんでおく。
(復習)
 受講者は全員が毎回取り上げたレトリックの実例を収集して次回に報告する。
評価方法
Evaluation Method
・レポート[作品含む](60点)
・平常点等(40点) 平常点等配点内訳:授業への積極的参加度20点、課題20点

教科書
Textbook
資料を配付する。
参考書
Reference Books
瀬戸賢一/日本語のレトリック―文章表現の技法/岩波書店
尼ヶ崎彬/日本のレトリック/筑摩書房
佐藤信夫/レトリック感覚/講談社
佐藤信夫/レトリック認識/講談社
地域との連携
Cooperation with the Community

担当教員への連絡方法
How to make Contact
メールアドレス
fwhg6870@mukogawa-u.ac.jp
受講上の注意
Notices

卒業(修了)認定・学位授与の方針との関連
Relation to the Diploma and Degree Policy


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